同社はこれらのトレンドを踏まえて、2022年1月に大手町ビル(東京都千代田区)にオフィスを移転した。大手町は地下鉄5線が乗り入れているほか、東京駅からも徒歩圏内とクライアントや取引先企業との関係性を育みやすい場所と考えたとのことだ。また、社員の自宅からオフィスまでの乗り換え回数をシミュレーションしたところ、移転前のオフィスでは平均1回だった乗り換え回数が移転後には0.75回まで減らせることが明らかになったという。

  • 新オフィスのエントランス

また、大手町ビルには大手からスタートアップまで、イノベーションをキーワードにさまざまな企業が入居する。それらの企業との関わりを通じて、より高い次元でのビジネス展開へつながる機会の創出も期待しているとのことだ。ワークビジョンを事前に設計しておくことで、立地や物件の検討から環境構築までの期間が短縮できたという。

  • ワークプレイス構築の流れ

新オフィスのエントランスの壁には、廃プラスチックを活用した「プレシャスプラスチックアート」が掲出されている。海ごみなどの廃プラスチックに由来するタイルを用いたアートを、京都府京丹後市でプレシャスプラスチック制作に取り組む丹後エクスペリエンスと計画している。来客などが壁にタイルを貼り、約1年後の完成を目指す。

  • 「プレシャスプラスチックアート」

プレシャスプラスチックアートの先には「パーパスライブラリー」を設置している。パーパスの実現に向けて、社員の学びを後押しするものだ。トレンド、プロジェクト、デザイン、コミュニティの4つのカテゴリーから選書している。

  • 「パーパスライブラリー」

対面型のオンラインコミュニケーションツール「tonari」は、同社の東京オフィスと大阪オフィス(大阪府大阪市)を常時接続している。場所を跳躍した対面コミュニケーションから、拠点をまたいだ社員の関わりを育む狙いがあるという。等身大の相手と会話が可能で、両拠点間でじゃんけんができるほど即時性がある。

  • 「tonari」を用いたコミュニケーションの様子

ワークプレイス内のリアルなコミュニケーションを生む空間として「ソーシャルゾーン」がある。セミパブリックな空間でステークホルダー間のコミュニティ活動を支援する場だ。ここにはイベントの雰囲気づくりに欠かせないDJブースや、ビールディスペンサー、モバイルバッテリーなどを設置している。

  • ソーシャルゾーンのイメージ

また、同社は同日、大規模なVR(Virtual Reality:仮想現実)空間を用いた企業とステークホルダーとのコミュニケーション促進を目的として、現実空間を反映した仮想ワークプレイス「ミラーワークプレイス」の構築サービスの開発に着手すると発表した。

同社が設計し施工を手掛けたワークプレイスデザインを、monoAI technologyのバーチャル空間プラットフォーム「XR CLOUD」に再現するサービスだ。PCやスマートフォンから同時接続が可能であり、大人数が場所に縛られない円滑な関わりづくりを支援する。企業文化の浸透や社内コミュニケーションの活性化、新卒採用過程における企業理解などに役立てられる。