Adobeが年に1回開催しているクリエイターのためのカンファレンス「Adobe MAX」には、「MAX Sneaks」という絶大な人気を誇るセッションがある。このセッションでは、Adobeが絶賛研究中の未来の技術が一足先にお披露目されるのだ。2021年のAdobe MAXは10月27日と28日の2日間にわたってオンラインで開催された。そこで本稿では、2日目のSneaksセッションで発表された9つの新技術を紹介しよう。
なお、Sneaksセッションで発表されるのは「将来的に製品に組み込まれるかもしれない技術」とされている。過去には実際にCreative Cloudの製品に搭載されたものも少なくない。しかし言い方を変えれば、あくまでも研究段階であって製品化される保証もないという意味でもあるので、その点は注意いただきたい。
ビデオの人物を笑顔にする「Project Morpheus」
ビデオに写っている人物の表情や容姿を修正したい場合、通常であればフレームごとに1枚ずつフィルターをかけなくてはならず、膨大な作業量が必要になる。「Project Morpheus」を使えば、その作業を一瞬で完了することができる。
下のスクリーンショットでは、左が元の映像で、右がフィルターをかけた映像になっている。髭を生やし、表情が笑顔になっている。
静止画であれば、Photoshopのニューラルフィルターを使って簡単に表情を修正できるが、Project Morpheusはその動画版のような技術と言えるだろう。
複数の静止画からアニメーションを作り出す「Project In-Between」
「Project In-Between」は、2~3枚の静止画を読み込ませると、その間の情報を自動で補完してアニメーションを作成してくれる技術だ。次のスクリーンショットでは、上の2枚が元になる静止画であり、下に大きく映し出されているのが「Project In-Between」によって作成されたアニメーションになっている。
この図ではわかりにくいが、実際には間に当てはまる複数のフレームが生成されて3秒ほどのアニメーションになっている。3人の人物が写った写真や、犬の写真からもアニメーションを作成できる様子が披露された。
ポーズから写真を探す「Project On Point」
ストックフォトから人物の画像を探す時に、イメージ通りのポーズをとっている画像を探すのは意外と難しい。例えば、「右手を水平に上げて、片膝を立てて座っている人」を探したい場合、どんなキーワードを使って検索をかければいいのだろうか。
そんな悩みを解消してくれるのが「Project On Point」である。「Project On Point」では、人物のイラストや画像をアップロードすると、その人物と同じポーズの人が写っている画像をストックフォトの中から探して一覧表示してくれる。
アップロードした画像に対しては、そこに写っている人物のポーズを解析してボーン(骨格)情報を抽出し、検索に使用するという。ボーン情報は自分で編集して、好きなポーズにして再検索することもできる。「Project On Point」を使えば、制作物のコンセプトに合った素材を探す時間が大幅に短縮できそうだ。