--どのような取り組みから始めたのでしょうか
伊藤氏:6年前にPOSシステムの提供を始めたのがきっかけです。POSを中心に他のソリューションが連携することによって、現在の「USEN まるっと店舗DX」が出来上がってきたように感じます。
実は、飲食店の仕事は接客の前に集客から始まるんです。店舗への来店を促すために、USEN-NEXT GROUPではグルメメディアや店舗アプリの受託開発なども扱っています。当社が受託して開発した店舗のアプリは当社のPOSレジと連携が可能で、アプリユーザーには会計金額に応じたポイントが付与されるといったサービスが提供可能です。
また、現代はアプリから飲食店の予約を取ろうとする際、リアルタイムで予約できることが一般的ですよね。そこで、当社のPOSレジは予約台帳サービスとのアライアンスを開始しました。これによって、POSレジのトップ画面から当日の予約状況が一覧で確認できるようになります。
さらに、POSレジの会計情報から、予約客がその日に何を食べたのかまでを収集可能です。従来の顧客管理では、お客さまの情報と売り上げの情報を結びつけるのが難しかったのですが、当社ではメディアの集客から顧客管理までを一連の流れで提供可能です。もともとPOSシステムを作りたかったわけではないのですが、POSシステムがあったおかげで、現在の「USEN まるっと店舗DX」の提供につながっています。
--今後業界全体で店舗のDXが進むと、将来の飲食店はどのような姿になるのでしょうか
伊藤氏:大きく二極化が進むと考えられます。運用の効率化を突き詰める店舗と、反対にホスピタリティを追求する店舗の2種類に分かれると思います。ただし、どちらに進んでもデジタルソリューションを使って効率的に店舗を運営するという流れは避けられないでしょう。
店舗の姿としては、大規模な飲食店は減少して、特徴を持った個性的な小型店舗が増えていくはずです。従来は4人で運営していた店舗を、テクノロジーを活用して2人でも運営できるような業態をイメージしています。
お店そのものの姿をテンプレート化したような飲食店よりも、1軒1軒は特徴を持ちながらも裏側では統一されたデジタルソリューションを活用したお店が増えていくような気がしますね。
アフターコロナの世界においては、少し予測が難しいのですが、現在よりは店内飲食の割合も増えるでしょう。そのような世界になった時に人の手に頼るこれまで通りの運営をするのではなくて、今のうちからデジタルソリューションを導入して、新しい世界に備えている店舗が多い印象です。
--今後の目標を教えてください
伊藤氏:本日は飲食店向けのソリューションを中心にお話しましたが、実は小売業向けやサロン向け、整体院向けのソリューションも持っています。これらの他業態向けの事業を拡充していきたいですね。
繰り返しになりますが、ソリューションを提供するだけでは当社が考えるDXとは言えません。本当の意味でまるっとDXを支援できるように、一つ一つのソリューションの拡充と、シェア拡大を目指しています。