企業データのセキュリティ保護
ネットワークレベルのセキュリティは必要不可欠ですが、現在では、企業のデータを保護するための多面的なアプローチの一つに過ぎません。モビリティは、以前にも増して普及しており、従業員がファイルを共有する頻度は増加しています。企業データは、複数のデバイスやフォームファクターをまたがって共有されています。こうしたデータを管理する手段がなければ、データを盗もうと企む者にとって格好の標的となります。
例えば、衣料品業界は、模造品や知的財産窃盗の被害を受けやすい業界の1つで、米国の衣料品業界では、模造デザインにより、年間280億ドル以上の損害が発生しています。
あるグローバル展開するアパレルブランド企業は、日々作成・製造している最新の衣服やデザインのすべてが、競合他社の手に容易に渡ってしまう可能性がありました。デザインチームは、製造業務を海外に委託しているため、詳細な指示やデザインを定期的に第三者に転送しています。もし、悪意ある人物がこの企業からデザイン文書を入手した場合、数日後には模造品が市場に出回ってしまいます。また、本物と偽物を見分けるには、製造プロセスでの精度がすべてのため、どんなに小さな縫い目であっても、ドキュメントは数百ページにも及ぶことがあります。
このことから、ファイルへのアクセスを完全に管理しながら、工場の現場から最新版のデザインファイルに簡単にアクセスができるファイル共有プラットフォームが必要でした。
そこで、同社はBlackBerry Workspacesを導入し、知的財産を守りながら、生産性を向上させることに成功しました。本社から工場フロアでのダウンロードまで、プロセスのあらゆる段階において、同社のファイルを暗号化し、閲覧、注釈付け、編集、印刷が可能な人物を責任者が限定できるようにしました。また、工場担当者が機密ファイルにアクセスする時間を制限できるようになり、工場フロアからタブレットが紛失した場合は、デバイスのファイルを消去できるようになりました。また、誰が何を、いつ、どのように、どこで見ているのかなど、デザイン情報の転送についても厳格な管理が可能になりました。
生産性の面では、使用するデバイスやプラットフォームの種類に関わらず、多数のメーカーが、デザイン文書を即時に受け取ることが可能になったことで、サプライチェーンの生産性向上につながりました。
著者プロフィール
ジョナサン・ジャクソン (Jonathan Jackson)
BlackBerry Limited アジア太平洋地域および日本担当 エンジニアリング ディレクターアジア太平洋地域および日本において、技術的なコンサルテーションを統括しています。セキュリティ ・ ソリューションのアーキテクチャ、開発、管理において 20年以上の戦術的経験を持っています。企業のモビリティ戦略とサイバー脅威におけるさまざまな課題に対応するためのモバイル戦略の開発に従事。 大規模な金融機関や政府 機関に対し、企業のデータ、資産、従業員を保護しながらエンドユーザーの生産性を向上させるセキュリティ・ソリューションの導入を進めてきました。