多彩な決済手法をまとめる『Airペイ』はコロナ禍の現場にぴったり

南三陸ホテル観洋では以前からクレジットカードを利用できたほか、2019年のポイント還元事業に伴ってSuicaなどの電子マネーの決済サービスに対応していた。しかし、還元事業の話題の中心だったQRコード決済には積極的ではなかったという。他の施策に注力していたという理由もあるが、最も大きな要因は乱立するサービスへの対応負荷だった。

「複数のサービスがあり、それぞれにやり方が違う。作業面で統一したいと考えていましたし、何より各サービスの決済端末がレジ近くで場所を取る点に問題を感じていました」と、尾崎氏は振り返る。

当時、QRコード決済は利用客側に一定の需要はあっても、地元従業員側ではプライベートでも利用している人が少ない状態だったという。各事業者のキャンペーンの影響もあり、地元でも観光客向けに対応する場が増えていく中、南三陸ホテル観洋が『Airペイ』の導入を決めたのは、2020年10月のことだ。

「ちょうど宮城県が主催する地域活性型みやぎキャッシュレス推進事業があったので、そこで選定されていた『Airペイ』の導入を決めました。『Airペイ』なら、複数サービスの管理画面を統一できるため作業効率を上げることが可能です。コロナ禍では、現金のやりとりを減らすことが感染リスクの減少にもつながります。お客様はもちろん、われわれとしてもキャッシュレスは感染リスクを減らせるので、導入すべきだったと思っています」と尾崎氏。

実際の利用が始まったのは2021年2月からだが、宿泊費精算だけでなく、レストラン利用時やホテル内の物販、ラウンジなどでも『Airペイ』は利用されるなど、積極的に活用されているようだ。

  • 南三陸ホテル観洋では、宿泊費精算のほか、レストラン、ホテル内の物販、ラウンジなどで『Airペイ』が利用できる

「従業員も慣れれば難しいことはないですね。年齢層が高いお客様も、近年はネット予約などデジタル利用に慣れておられます。キャッシュレスも便利さが浸透して、使う機会が増えているようです。間違いが発生しやすい現金のやりとりが減ることで作業の時間が減少すれば、お客様との会話を重視するなど、本来あるべき接客の姿につながることにも期待しています」と、尾崎氏は手応えを語る。

コロナ禍に対応する感染対策という意味では、単純にキャッシュレス対応するだけでなく、1台のiPadとカードリーダーがあれば36種の決済方法に対応できる『Airペイ』を導入したことは特に大きな意味があるという。

「レジ周りの場所の問題は大切です。モノが細々と並んで狭い状態では、機器を落として壊したらどうしようと従業員も不安になります。また、たくさんの端末があれば決済に手間取り、お客様にとっても不便。密を避けるためにも、たくさんの端末を並べるのは避けたいところです。今はアクリル板や消毒液も置かねばならず、さらに場所が必要ですし、使うたびに拭き上げなければならず手間がかかりますから、『Airペイ』で1つにまとまったのはとてもいいですね」と、阿部氏は『Airペイ』の価値を語った。

データ活用や初心者サポートにも期待

南三陸ホテル観洋では、『Airペイ』を導入することで実際に宿泊する利用者に向けて感染対策や利便性の強化を行うとともに、今は宿泊できない人に向けたPRも続けている。

「災害があった場所なので復興を支援したいという気持ちを持っている方々がいると感じています。以前は応援したいから泊まりにいらっしゃるお客さまもいましたが、今はそうも行きません。宮城県内の女将による『みやぎおかみ会』の会長も務めているので、国の支援施策よりも早く前売りチケットを作ったり、女将オススメの地場産品の詰め合わせを通販したりと、低迷する同業者支援にも力を入れました。以前からオンラインショップを運営していましたが、たくさんの要望に応えて通販ができたのは、電話注文ではなくデジタル対応ができたからです。同時に電話でも注文を受けたことで、注文を受けたことで、新型コロナウイルスによって宿泊キャンセルの電話ばかりの中で通販の注文電話が殺到し、前向きな職場環境にもつながったと、従業員からは喜びの声が聞かれました」と、阿部氏はデジタルを活用しつつ、人とのつながりを大切にしながら積極的に動くことの大切さを語った。

  • 2020年12月末から、「みやぎおかみ会」で女将がお勧めする地場産品を詰め合わせた「みやぎご馳走セット」の通信販売を開始した

いまだ新型コロナウイルスの収束は見えないが、南三陸ホテル観洋では先を見据えた情報発信に加え、『Airペイ』のさらなる活用や、地域への普及にも目を向けている。