ペーパーレスやファイル活用の阻害要因
ペーパーレスやファイル活用の阻害要因を日常的に耳にしているという鈴木氏は、テクノロジーとは無関係のところにその要因があると語る。それは、利用を考えているテクノロジーの未成熟さではなく、企業文化や抵抗勢力の非同意だという。
鈴木氏はデジタルへの信用の無さも一部あるかも知れないとしながらも、こうした阻害要因を放置するのではなく、追い風が吹いている今だからこそ廃絶していくべきだと力説した。
これら阻害要因への対処方法は、大きく分けて3つあると鈴木氏は説く。
その1つめは、トップダウンでのデジタル化推進だ。既に実行している企業が多いとみられるが、鈴木氏はより明確にメッセージを出すことが望ましいと語る。
2つめは、適用する部門や用途を絞り、いわゆるスモールスタートで始めた上で横展開していく手法だ。
3つめは、社内マーケティング。鈴木氏は、軽視されがちな点だと指摘する。
具体的には、IT部門が主導するのではなく、現場の部門から始めるというものだ。これにより社内の世論を形成して横展開を進め、社内の過半数がデジタル化を進めるようになれば、抵抗勢力も付いてくるだろうと鈴木氏は説く。
さらに鈴木氏は、デジタル化を進める立場にある人たちに対して、具体的にどのようなソリューションがあり、またペーパーレスの全貌はどういうものなのかを、一通り理解しておくことが必要だと指摘する。その上で課題とソリューションを掛け合わせて優先順位付けし、その課題をどう解決していくべきか現場を見つめることを意識すべきだと指摘した。
ペーパーレスの全貌といっても、鈴木氏によるとベンダーからそういう話はあまり聞けないという。ベンダーは、自社の製品やサービスからの視点で語りがちだからだ。
鈴木氏はペーパーレスには、①最初から紙を使わない電子化、②紙の電子化、③オフィスのクリーン化の3点があるという。そのうち、最も重要なのは最初から紙を使わない電子化であり、これに狙いを付けてやっていくべきだと語る。