試験の詳細

以下では、各規格で定められた試験とその試験における設定の要件という2つの側面について、UL規格を例に説明します。

  • 光源から光検出器までの距離dは5フィートまたは2m、ビーム径は4インチ~6インチ(10.2cm~15.2cm)という標準の寸法でナトリウム・ランプ(589nm)を使用します。

火災室での試験は、火災の発生から警報機能が作動するまでの時間、または減光率(場合によってはその両方)を使って定義されます(図2)。減光率は、煙の濃度の測定単位です。煙が存在する場合に検出器(D)に到達する光量を、清浄な空気中で検出器(D)に到達する光量と比較して測定します。減光率が高いほど、煙の濃度は高いということになります。

  • UL規格

    図2. UL規格の試験用の構成例

現時点で最も厳しい試験規格は、北米/カナダで採用されているUL 217とUL 268です。以下に、関連する試験の一部の内容をまとめますが、それら以外にも数多くの試験があります。なお、以下に示す内容は、UL 217の第8版、UL 268の第7版に即しています。

  • 紙類の燃焼
    • 240秒以内に警報が発せられること
  • 木材の燃焼
    • 240秒以内に警報が発せられること
  • 無炎燃焼の煙
    • 減光率が29.26%/mに達する前に警報が発せられること
  • ポリウレタン・フォームの有炎燃焼
    • 減光率が15.47%/mに達する前、および360秒以内に警報が発せられること
  • ポリウレタンの無炎燃焼
    • 減光率が34.3%/mを超える前に警報が発せられること
  • ハンバーガー(誤作動)
    • 減光率が0.987%/mを超える前、またはMIC値が59.3%~49.2%の範囲にある場合には警報や異常通知が発せられないこと
  • 感度の試験、塵埃の試験、高湿度の試験
    • 警報や異常通知を発してはならない
    • 感度の試験では、制御された煙チャンバ内で減光率を測定し、作動状態を確認する
  • 引火性の液体の燃焼(カナダのUL 268のみ)
    • 240秒以内に警報が発せられること

EN 14604、BS EN 54、ISO 7240では、同じような試験でも感度のレベルが異なっていたり、液体(ヘプタン)の燃焼、綿の無炎燃焼、低温で黒煙を発する液体の燃焼などに関する規定が追加されていたりする場合があります。試験の詳細について知りたい場合は、各規格の全体に目を通してください。

試験に対する準備、各国際規格に重複する内容

上述した5つの主要な試験規格について、以下、要件をまとめます。

  • UL 268とUL 217
    • 28種類の組み立て済み試料のすべてを各試験で使用すること(試験機関と別途合意している場合を除く)
  • EN 14604
    • 20種類の試料を使用する。試料には応答閾値が高い(感度が低い)ものから順に番号を付ける
  • BS EN 54
    • 22種類の試料を使用する。感度が低い6つの試料に17から22の番号を付け、それ以外の試料には任意の順で1から16の番号を付ける
  • ISO 7240
    • 20種類の試料を使用する。感度が低い4つの試料に17から20の番号を付け、それ以外の試料には任意の順で1から16の番号を付ける

テスト用の設定は重要です。それにより、5つの規格の各試験でいくつの検出器が必要になるかが決まるからです。UL 268とUL 217では、28種類の試料のすべてを各試験に使用することが求められます。他の3つの規格では、規定されたとおりに試料に番号を付けます。そして、個々の試料を使い、特定の試験に合格することを目指します。例えば、ISO 7240では、すべての試料に対して再現可能性の試験が求められます。その一方で、眩しい光に関する試験では、試料3だけを使用します。各規格に準拠するには、特定のデバイスを特定の試験に合格させなければなりません。すべての規格に準拠するには、各規格の全試験を実施する必要があります。つまり、複数の規格に重複する部分はないということになります。とはいえ、2つの異なるUL規格で同一の試験条件が定義されており、一方に準拠すれば他方にも事実上、準拠していることになるというケースもあります。例えば、EN 54-29、EN 14604、ISO 7240では、煙が充満したトンネルと火災室に関して同一の要件が定義されており、両方の試験場で一部の試験が実施されます。これらの規格では、大気についても同一の条件が設定されています。