Zoomに対抗、Google Meetを無償化

新型コロナウイルスの影響で、世界中の企業や教育機関がテレワークまたはリモート授業を利用するようになった。この影響で一気に注目度を高めたWebサービスに「Zoom」がある。今回のインシデントをきっかけに初めてテレワークやリモート授業を始めた人の中には、「Zoom」=Web会議として認識している人もいるだろう。

こうしたZoomの注目度の上昇が競合のサービスにもたらした影響は大きい。競合サービスはこぞってZoomと同じ機能を、Zoomと同じ価格帯で提供するようにサービスの変更に取り組んだのだ。そうした企業の1つにGoogleがある。

Googleは4月29日(米国時間)、「Google Meet Now Available for Free - The Keyword」において、同社のWeb会議サービス「Google Meet」を無償で提供すると発表した。提供されている機能と制限はZoomとよく似ており、Zoomを意識した設定になっていることは間違いなさそうだ。

しかし、ユーザーにとって選択肢が増えることは好ましい。Google Meetを利用する条件はGoogleのアカウントを持っているかどうかだ。ZoomよりもGoogle Meetのほうが使いやすい人もいるだろう。本稿では、Googleを巡る状況と簡単な使い方を簡単に紹介しよう。

Googleのメッセージングサービスを整理しよう

Googleは複数のメッセージングサービスを提供している。これらサービスは機能追加や統合、名称変更などを繰り返しており、正直なところどのサービスが何をするものなのかわかりにくい状況にある。さらに、今後どのサービスが生き残るのか、どのサービスに一本化していくのか、それとも現状のまま推移するのか、明確なことはわからない。

以下、Google Meetに関連していると思われるコミュニケーションサービスをまとめておく。

サービス 内容
Google Meet チームビデオコミュニケーションサービス。GmailやGoogleカレンダーと連動。今後、GoogleのWeb会議はGoogle Meetがメインになると考えられる
Google Chat チームチャットコミュニケーションサービス
Google Hangouts コミュニケーション・ソフトウェア。もともと、Google+の機能の一部だった。G Suiteプロダクションラインの1つだったが、Google MeetとGoogle Chatへ引き継がれることになった
Google Talk インスタントメッセンジャー。後にサービス終了となりGoogle Hangoutsが後継となる
Google Voice 電話サービス・コールフォワード・ボイスメール・テキストメッセージ
Google Messages Android向けのインスタントメッセンジャー/SMS。Webインタフェースもあり
Google Allo Android/iOS向けのインスタントメッセンジャーアプリ。Webクライアントあり。後にサービス終了となりGoogle Messagesに移行する
Google Duo Android/iOS向けのビデオチャットモバイルアプリ。もともと1対1のビデオチャットを想定。2019年5月に8人、2020年3月に12人まで同時に利用できるように機能を拡張。2020年5月中には32日まで拡大予定

ここでは「Google Meetを使うとZoomのようなことができる」と認識しておけばよいと思う。

Google Meetの無償化に合わせて有償プランも変更されており、状況を把握しづらいのだが、Google Meetの視点から無償版と有償版の機能制限を簡単にまとめると次のようになる。

プラン 無償 G Suite Essentials G Suite Enterprise Essentials
価格 無償 10米ドル/1アクティブユーザー/月 要相談
参加上限 100名 150名 250名
1回の会議長さ制限 1時間 300時間 300時間
会議数 制限なし 制限なし 制限なし
Webブラウザからの参加
外部参加者の招待
モバイルアプリ
スクリーンとプレゼン共有
レイアウト調整
ライブストリーミング × × 10万ビューアまで
会議の録画 × ×
ノイズキャンセル × ×

ただし、本稿執筆時点では、次の条件が追加される。

  • 無償版の会議の長さ制限は、2020年9月30日までは1時間ではなく24時間まで
  • G Suite Essentialsは2020年9月30日までは無償
  • G Suite Enterprise Essentialsのライブストリーミング機能は今後提供される機能
  • G Suite Enterprise Essentialsのノイズキャンセル機能は今後提供される機能

Googleアカウントを持っていれば、2020年9月までは上限100人で制限時間なしでGoogle MeetのWeb会議機能が使える、と思っておけばよいだろう。今のところ、2020年10月以降は1回当たりの会議の上限は1時間までだ。