新しい時代に向けて

--最後に2020年の抱負についてお聞かせください。

山口氏:まずは、長年お客さまの業務アプリケーションを構築しているため、この知見を“Industry application as a Services”として落とし込み、従量課金で提供するサービスなどを検討しています。これまでは各病院においてサーバを置いて電子カルテシステムなどをオンプレミスで構築していました。一方、Industry application as a Servicesは、各業界固有のアプリケーションをクラウド経由で提供するというものです。

また、基幹システムからエッジを含めて全体で物事を見極めなければならない1年になると想定しているため、多様なパートナーとともにエンドツーエンドで必要なケイパビリティを提供できる企業を目指します。

さらに、最新テクノロジーにより、障がい者の方でも安心して生活できる環境の構築や環境問題、災害の予測などを強化していきます。加えて、人材育成については営業がクラウド開発やデータアナリティクスの研修を受講しています。これまではコンサルティングが主になっていましたが、幅広くお客さまの課題解決に取り組めればと考えています。

昨今、自動運転や空飛ぶ車の実証に加え、多様なデータが飛び交うなど、システムが社会に浸透する時代が到来しています。

そのような状況下であることから、IT企業だけでなく、IBMの各事業部、企業、業種、国など、さまざまな枠を超えて新しい社会に役立つ仕組み・環境を構築し、結果として周りの方々から役に立つ企業であると認知されれば社員たちは誇りを持ち、輝くことができると思います。

新しい時代を創っているのだという自負のもと、がんばれる会社でありたいですね。そのためにはスキル・知識が必要となることから、社内の人材育成は昨年以上に強化していきます。1975年~1993年まで当社の社長を務めた椎名武雄氏が標榜した“Sell IBM in Japan, sell Japan in IBM”という言葉が思い出されます。

なぜなら、外資であるIBMが日本で役立つためには、IBMとして貢献できることを日本の社会に理解してもらうことが重要です。また、日本での取り組みを170カ国に展開しているIBMのネットワークを介してIBMだけでなく世界中に広め、IBMのことも日本に広めることで、パートナーシップを組み、よりよい仕事ができるのではないかと考えています。