高度な自動車システムのテスト
車載イーサネットを使用するシステムを適切に実装するには、包括的なテスト計画と、それを支える適切なテストソリューションが必要です。 図2は、車載イーサネットスタック全体を示しています。
図3の物理層では、コンプライアンスを検証するためにトランスミッター、レシーバー(イーサネットPHYに統合)およびリンク(配線ハーネスとコネクタを含む)の3か所をテストする必要があります。
テストを簡潔にし、テスト時間を最小限に抑えるために、3か所でそれぞれ専用のテストソリューションを利用します。トランシーバーに利用可能なテストソリューションでは、コンプライアンステストは自動的に構成され、セットアップが事前にパッケージ化されています。
また、最新のテスト機器では、グラフィック出力で被試験デバイスの接続を表示でき、印刷可能な合否判定HTMLレポートも作成します。
リンクレベルにおける完全なテストではケーブルの連続性とコネクタの整合性をカバーし、通信チャネル全体のクロストークレベルを検証する必要があります。
スタックの上位レベルのソリューションテストで、車載用TCP/IPスタック、時刻同期(IEEE 802.1AS)、オーディオ・ビデオ・ブリッジング・トランスポート(802.1 Qav)、スケジュールされたトラフィック伝送(IEEE 802.1 Qbv)などの機能を検証する必要があります。
車載イーサネットに求められるテスト手法を考える
現代の自動車にはドライバーの安全性と利便性を支えるエレクトロニクスが満載されています。自動運転テクノロジーとコネクテッドカーシステムが進化を続ける中、車載イーサネットは車載用ネットワークの課題解決の鍵を握ります。車載イーサネットは車載用エレクトロニクスシステムの高いデータレート、帯域幅、EMIの要件に対応しますが、そのテストと実装には新たな課題をもたらします。
車載イーサネットスタックの各レイヤーにおける効果的なテストの実施は、システムまたはサブシステムを迅速に診断し、信頼性を確保する上で不可欠と言えます。 キーサイト・テクノロジーでも幅広いラインナップのテストソリューションを提供することで、システム設計者、開発者、インテグレーターたちのサポートを目指しています。例えば車載イーサネットTxコンプライアンスソリューション「E6961A」と車載イーサネットRxコンプライアンスソリューション「E6962A」などを提供しています。また、これらのソフトウェアソリューションを併用する包括的なイーサネット・コンプライアンス・ソフトウェアでは、4種類の異なる車載イーサネット規格であるBroadR-Reach、IEEE 100BASE-T1、IEEE1000BASE-T1、One-pair-Ether-Net(OPEN)Alliance ECUのテストも実現することができるようになっています。
著者プロフィール
Fred WeillerSenior Director of Solutions Marketing
Keysight Technologies