6:マイクロLEDはブルーオーシャンとなるのか?

Mini LEDよりも小型のMicro LED(マイクロLED)を用いたディスプレイに関しては、ガラスバックプレーンを備える方式が増えてきているものの、歩留まりに問題があるため、現在、その最大サイズは12型であり、それ以上にサイズを大型化するためにはガラスを継ぎ合わせる必要があるという。

また、マイクロLEDのコストは短期的には高止まりするものの、さまざまな活用が期待されることもあり、将来的なビジネス機会の拡大につながり、供給過剰が続くディスプレイ業界におけるブルーオーシャンの市場を切り開く可能性があるという。例えば折りたたみディスプレイでは、材料構造が堅牢で、多くの保護層と偏光を必要としないため、適切なソリューションになる可能性があるとする。

7:3D センシング - ToF方式の適用範囲が拡大

モバイル3Dセンシングの分野でタイムオブフライト(ToF)方式は多くの企業が提供しており、低コスト化が進んでいることもあり、スマホの背面カメラをマルチカメラ化する際のオプションの1つとなると考えられるという。

ただし、2020年の成長率はそれほど高くはないものの、同年中にToFモジュール搭載スマホを提供するメーカーそのものは増加する見通しで、将来のスマホ市場での普及拡大に向けた準備段階になる可能性があるとする。

もしスマホにToFモジュールが搭載されると、ARの機能強化につながり、ARアプリに対するユーザーの需要が高まり、アプリ開発が促進されることが期待されるという。

8:IoT - 本格活用時代における収益性確保が重要に

IoTはすでに試験導入や本格導入が各所で進められており、それによってどのように収益をあげるのか、といった話が具体性を持って語られるようになってきた。しかも、その適用分野は製造業、小売、農業、医療などと広範にわたっており、そうした産業に変革をもたらす役割を担うようになってきた。

より高度なセンシングを実現するためには、センサ機能の向上やAIアルゴリズムの改善が必要となるが、それによりさらなる学習機会が与えられ、より高度なAIによる推論処理が可能になる。TrendForceでは、近い将来、AIとエッジコンピュータのエンドデバイスへの統合が推進されると見ており、ハードウェア、ソフトウェアともにアップグレードの機会が訪れることが期待できるとしている。

9:自動車 - 自動運転の実用競争が激化

2020年における自動運転技術については、商用車での活用、特定の配送・運行ルートでの活用、地域固有の課題に対する活用、といった3つの活用が期待できるという。

ほとんどのOEMメーカーがレベル4の自動運転の実現を目指した開発を進めており、2020年には、その実現に向けた商用アプリケーションの量と種類の増加が期待できるという。その後押しとなるのがNVIDIAが提供しているような自動運転向けプラットフォームの増加・拡充であるとTrendForceでは説明しているが、その一方で、自動運転技術の開発コストは増大していくため、OEMやエンジニアは、コストの最適化などに向けた可能性を探る必要性があることも指摘しており、最適なビジネスモデルを見つけることも2020年の焦点となるとしている。

10:太陽光発電 - コストパフォーマンスが焦点に

太陽光発電に関する技術革新は常に進められている。2018年以前の発電モジュールは標準的な60/72セルで構成されるものが一般的であったが、2019年にはセルレイアウトが変更されたものが登場するなど、新たな動きを見せつつある。それに併せてモジュールあたりの出力電力も増加する傾向にあるが、その競争力の核となるのは、電力平準化コスト(LCOE)であり、TrendForceでは発電量を増やし、製品の長期的な信頼性を確保するために、LCOEを削減する必要があるとしている。

LCOEを削減するためには、セルの効率向上とモジュールの発電出力を高める必要があるが、販売業者にとって重要なのはコストパフォーマンスとなるため、モジュールベンダは製品価格の主導権を握ることは難しくなるため、そうした点を踏まえたモジュール開発を進めていく必要があるとしている。