QRコード決済サービスとして利用できるようになる店舗は、大手チェーン店をはじめとしてさまざまな業種で導入準備が進められているようだ。
「コンビニエンスストア、ドラッグストア、スーパーマーケットなど日常使いの場をおさえていきます。大手チェーンの場合にはPOSとの連携が必要であるため、システム事業者と準備中です。夏以降には本格的な展開をしたいですね。加盟店向けにもインセンティブではなく、銀行としての信用で勝負したいと考えています」と黄氏は今後の展開を語る。
個人向けにはATMや窓口へ行く回数が減る便利さと送金手数料無料というメリットを提供し、店舗向けには銀行という信頼できるサービス事業者であることをメリットとして打ち出すほか、サービス拡大の施策として予定されているのが企業内活用だ。
「企業内の経費精算サービスの提供を予定しています。交通費精算等を含めた経費精算時に、会社から社員のアプリへ入金するわけです。企業側からは手数料をいただきますが、現在の口座への送金よりは安くなるでしょう。もし給与を電子マネーで支払うことが認められれば給与振込にも対応したいですし、募金等での利用にも対応可能と考えています」(黄氏)
企業が社員向けに利用するようになれば、企業は振込手数料を節約でき、振り込まれた社員は、アプリを使って決済する機会が増える。それを入り口に店頭決済の利用拡大につなげたい考えだ。同社は、キャンペーン等での人集めよりも、こうした形でのユーザー数拡大を見込んでいるようだ。
参加金融機関拡大に期待
全国の金融機関が参加しているとはいっても、6月時点での参加金融機関の多くは地銀だ。メガバンクやネット銀行が参加していないことから、利用してみたいが利用できないという人も多いだろう。今後の参加金融機関増を期待したいところだ。
「我々のスタンスはオープンであり、今後も全国の金融機関に参加頂くことを考え、継続してお声がけをしております。金融機関全体でキャッシュレスを推進したいと考えております」と黄氏は語る。
参加金融機関の偏りはあるものの、その口座数を合計すれば6000万人以上が利用可能な潜在ユーザーということになる。決済可能店舗の拡大とともに、個人間送金等のメリットが認められれば単純なQRコード決済サービスとは違った形での利用拡大も見込めそうだ。
「今後銀聨QRコードやAlipayにも対応します。また海外での決済に利用してもらえるような形を将来的には考えています。個人向けサービスとしては今後も有料化は考えていません。ぜひ使ってみて欲しいですね」と黄氏は誕生したばかりのJ-Coin Payについて語った。