続いて、Instagramについて聞く。運用に携わるのは、戸上みず紀さん(開発本部 商品開発部 ステーショナリー課)。“日々をたのしむ文具”のコンセプトを掲げ、新ブランド「HITOTOKI」が2017年4月に誕生したのと同時期に、Instagramの運用も始まった。
運用開始から約2年。毎月10投稿を目安に、丁寧な発信を積み重ねてきた。当初立てた目標「運用開始から3年で5万フォロワーを達成すること」は、運用を始めて2年でほぼ達成している。
投稿を眺めていると、美しい統一感が印象に残る。その理由は、ブランドの世界観を大事にし、大人っぽくシンプルなモノを好むユーザー向けに、その軸からズレないクリエイティブを作り込んでいるからだ。毎回の撮影はハウススタジオで、同じカメラマンが同じ画角で撮る。だからブレがない。
チーム構成は、戸上さんの部署(開発)から1~2人、広報室から1人、ディレクションを担う外部のパートナー会社の3者。開発と広報で毎月20個程度のアイデア出しをし、月1の会議で約10個に絞り込む。
「ディレクション担当と相談しながら、使用する小物のテイストやその置き方、どのような画角で撮影するか細かい調整をした上で、後日ラフ画を提出してもらいます。さらにやりとりを続け、撮影のイメージを細かく詰めて、1カ月分(10投稿分)を1日かけて、ハウススタジオで撮影します」(戸上さん)
撮影に立ち会うのはチーム全員で、朝9時から日が出ている間にすべての撮影を済ませる。初期の頃は17時頃までかかっていたが、仕組み化された今では15時頃には全撮影を終了する。
使用シーンを詳しく示して、購入・利用意欲を高める
アカウント開設から1年経った2018年春、HITOTOKIのInstagramはリニューアルを図っている。それを機にディレクション担当である、外部のパートナー会社も変わった。
「2017年はタイムラインの中で目立つような、かわいい投稿というところで止まっていました。HITOTOKI製品がお客様の生活にどうなじむのかは、伝わりづらかったと思っています。
2年目からは、製品に小物を添えるなどの工夫で、使用シーンやいろいろな使い方を提案するようになりました。製品購入後にどう使うか、具体的にイメージしていただきやすい投稿を心がけています」(戸上さん)
Instagramを「私たちにとっては、ブランドの世界観を伝える場所であり、ユーザーさんと交流する場所」と語る戸上さん。気軽に投稿しようと思えば投稿できるツールでもあるが、ブランドの真髄をビジュアルで訴求し、ブランドを心から愛してくれるファンを囲い込んでいきたいなら、HITOTOKIの事例はとても参考になるのではないだろうか。