現在、IoTソリューションの導入は、「HOSTEL Co-EDO SAWARA」、バリューマネジメントが運営するホテル「佐原商家町ホテルNIPPONIA」、佐原の観光スポット10カ所にとどまっているが、ソリューションの改良を重ねることでパッケージを作り上げ、広く利用してもらうことを計画している。さらには、他の地域にパッケージを導入して、観光を活性化していきたいという。
先に述べたが、NIPPONIA SAWARAは、佐原のまち全体を宿泊施設として開発することを目指している。例えば、佐原の飲食店を利用してもらうため、HOSTEL Co-EDO SAWARAは食事を提供しない。飲食店を探しながら街をぶらぶら歩くことで、他の観光スポットにも足を止めてもらうことも視野に入れている。
杉山氏は、佐原のまち全体を宿泊施設として開発することで、「町中のレストランやお土産やなど、佐原の地域全体に、観光客がお金を落とす仕組みを作りたいと思っています。その結果、地域の経済活性化につなげたいですね」と話す。
また、根津氏は、今後の展望について、次のように話す。
「香取市は2006年に佐原を含めた4つの市町村が合併して成立したのですが、それぞれ特性が異なります。例えば、栗源地区は農業が盛んなので、その農産物を利用した料理をふるまったり、農家の宿泊をサービスとして提供したりといったことができます。ITを活用してエリア間の連携を強化することで、香取市全体の観光振興を図りたいと考えています」
佐原地域のIT活用は、宿泊施設の人手不足や観光スポットの多言語対応といった課題の解決にとどまらず、地域全体の観光活性化の可能性を秘めている。
オリンピックが開催される2020年には、成田空港を利用する外国人旅行客は大幅に増加するだろう。その大きなチャンスに向けて、NIPPONIA SAWARAの取り組みが成功することを期待したい。