インフラ向け基盤「Neoverse」の正体

さて次はインフラストラクチャ向けの説明(Photo10)となるが、説明の大半は以前の説明会の内容と被るので、ここでは割愛させていただき、その後のアップデートをご紹介したい。

  • Drew Henry氏

    Photo10:インフラ関連の説明はDrew Henry氏(SVP/GM, Infrastructure Business Unit)が担当

まずはエコシステムだが、TechConのスライドでも、Cloud partnerとしてannnapurnalabsの名前が挙がっているが、11月27日にAWSがEC2 A1 InstanceとしてannapurnalabsのGravitonプロセッサを採用したことを明らかにした

このGravitonプロセッサが、公開されたものとしては最初のNeoverse搭載製品ということになる。さて、ここからは質疑応答の内容を基にすこし詳しく説明をしたい。

まずNeoverse向け製品とコンシューマ/オートモーティブ向け製品の違いについて。現状のCosmos Platformは既存のCortex-A72/A75プロセッサがそのまま利用される(annapurnalabsのGravitonはCortex-A72×16構成)が、その先については「マイクロアーキテクチャはCortex-Aと同じだが、インプリメントは異なる」(Henry氏)という説明であった。

  • 宇宙っぽいひびきのNeoverse

    Photo11:「TechConの時はこの話が出来なかったので、今回発表出来て嬉しい」(Henry氏)。ちなみにNeoverseはUniverseっぽい響きがあり、一方Gravitonは重力子の意味で、どちらも天文(というか、宇宙物理学)用語っぽいところも気に入っているとか

そのため、7nmのAres Plarformで利用されるものは、Cortex-A76をベースとしたNeoverse向けのコアということになる。

そして7nm+向けのZeus Platformが、Deimosコアベースのもの、5nmのPoseidon PlatformがHerculesコアベースのもの、と推察される。

ちなみにこれはBig coreのラインアップであり、Small Coreも別途用意される。その最初のものがAres Platform向けのHeliosとなる(Photo12)わけである。

  • Ares Platform向けのHelios

    Photo12:ここからはArm TechCon 2018の"Scalable energy efficient Arm-based design for distributed cloud and network markets"というArmとSynopsysの共同セッションの資料より抜粋したものを使用

CosmosにしてもAresにしても、どう使い分けるかという話になるが、一例として示されたのがPhoto13となる。

  • Gravitonの概要

    Photo13:これを見ると、GravitonはSmart Offloadの構成に近いのではないかという気がする

要するに負荷が軽いものはCortex-A55やHelios、負荷が大きいものはCortex-A72/75やAresコア(Cortex-A76のNeoverse版)がそれぞれ適当、という形だ。Photo12に戻るとCoreLink SGI-572/575/755というあたらしいSystem Guidance for Infrastructure(SGI)が用意されているのが判る。それぞれの詳細は同社のWebサイトに詳しいが、ArmはそれぞれのSGIに対応した形でPOP IPも提供する予定があるそうで、少なくともTSMC向けには間違いなく提供される(Samsungとも緊密なパートナーシップ云々、という返事はHenry氏から貰ったが、具体的なプランは不明である)。

パートナーで言えば、Silicon PartnerにGlobalfoundriesが名前を連ねているのだが、「これは一体何だ?」と聞いたところ、Globalfoundriesの設計子会社であるAvera Semiconductorの事だそうだ。

Avera SemiconductorがNeoverseのSilicon PartnerとしてNeoverseベースの設計を行うという話で、Globalfoundriesの14/12nmプロセスでCosmos Platformを作るという話ではない(別に作っても構わないのだろうが)との事だった。

最後に余談を1つ。Ares世代までのコアはArm v8.3Aベースであるが、Zeus世代(DeimosやそのNeoverse版)はArm v8.4A、Poseidon世代(HerculesやそのNeoverse版)はArm v9ベースになる、という話であった。ちなみにこれはTechConにおける質疑応答での情報で、今回の記者説明会とは関係がない。今のところv8.4Aとかv9でどう変わるか、は不明なままである。個人的にはv9あたりで32bitのサポートを切り捨てそうな気がしなくはないところが注視しておく点と思っている。