軽減税率制度に対応するレシートに記載すべき項目
具体的には、どのような事項が必要になるのでしょうか。軽減税率制度に対応するレシートには、次の必要事項を記載することが求められています。
- 請求書発行者の氏名
- 取引年月日
- 取引の内容
- 対価の額
- 請求書受領者の氏名又は名称(小売業者は5の記載は必要なし)
- 軽減税率の対象品目である旨
- 税率ごとに合計した税込対価の額
※2023年10月1日以降は、税率ごとに合計した対価の額(税抜き又は税込み)及び適用税率の記載が必要
(1)~(5)はこれまでも記載が必要でしたが、軽減税率制度の実施により(6)と(7)の対応が新たに求められることになります。
(1)と(,2)は軽減税率制度対応のレジを導入することで、対応に必要な労力を軽減することができるので、詳細は後述します。
(3)は、たとえ自店の販売商品に軽減税率対象商品がなかったとしても、仕入れ内容を帳簿に記帳する際に、正しい軽減税率制度の知識が必要となってきます。本稿や政府が発表しているガイドブックなどを参考に正しい軽減税率制度の知識を身につけていきましょう。
レジの種類で異なる軽減税率制度への対応
それでは、軽減税率制度に対応できるレジを紹介します。現在、店舗で利用されているレジは大きく「レジスター」「高機能POSレジ」「モバイルPOSレジ」の3種類に分類できます。それぞれの特徴や軽減税率制度対応の難易度を以下の表にまとめました。
どのレジを使用していても、共通して行わなければならないのは、商品ごとの税率設定です。商品ごとの税率は、テイクアウトやイートインが選択できるかどうかを含めお店にしか分からないため、オーナーおよび店長自身での税率設定が必要です。
「レジスター」「高機能POSレジ」の場合、レジ本体の小さな表示窓、またはPCでの専用ツールを使用しないと税率設定ができないケースも多く、比較的難しいという声を聞きます。「モバイルPOSレジ」であれば、iPadやiPhoneなどの端末上での操作のみで完結するため、比較的使いやすいでしょう。
加えて、税率およびレシート表示を切り替える場合、「レジスター」は適切なタイミングで手動による設定、「高機能POSレジ」は専任の業者の改修が必要となることもあります。「モバイルPOSレジ」はアップデートさえ行っていればアプリという性質上、2019年10月1日になったタイミングで自動的に税率が切り替わります。
また、2023年にはレシートに事業者番号と税率ごとの合計を記載する「インボイス対応」も行う必要や、今後キャッシュレス決済対応には消費税優遇を検討するといった議論も出てきているなど、レジ対応の必要なタイミングが今後も出てくることが予想されます。
「モバイルPOSレジ」であれば、アプリのアップデートのみで更新が済むため、利便性やコストなど総合的に見て、使いやすいのではと考えています。
モバイルPOSレジにおける軽減税率対応
そんなモバイルPOSレジでは、どのようにして軽減税率対応を行っていくのかについて、筆者がプロデューサーを務める「Airレジ」を例に紹介しましょう。軽減税率制度に対応する「Airレジ」の特徴は主に次の4点です。
- 消費税法改正に準拠
- 複数税率の設定がシンプルで簡単
- 事前設定により、アプリのアップデートだけで複数税率に対応
- 導入コストや業務負荷を軽減
「Airレジ」では、標準税率10%または軽減税率8%について、事前に選択したほうがあらかじめ入力されているので、最低限の操作で設定ができるように開発中です。商品やメニューに対して軽減税率に該当するものだけ変更するだけで対応可能。現在、IT機器が苦手な方でもできるだけ簡単に操作できるよう登録画面の開発を進めています。
また、商品やメニューの登録などの事前設定が完了すれば、あとはアプリのアップデートだけで、自動的に複数税率に対応できます。
ここまで、軽減税率の導入に伴い、店舗が知っておくべ会計・レジ対応のポイントとして、軽減税率制度導入の影響や必要な対応について紹介してきました。実際に対応を進めていく際は、本稿を参考にして準備を進めていただけると幸いです。
著者プロフィール
稲垣 有二(イナガキ ユウジ)
リクルートライフスタイル Airレジプロデューサー
1981年生まれ。大学卒業後、大手ERPパッケージシステム会社に入社。エンジニア・プロダクトマネージャーとして主に会計、SCM(サプライチェーン・マネジメント)などの企業向け業務支援システム開発、コンサルティングに携わる。
リクルートライフスタイルに転職後、2018年1月より『Airレジ』のプロデューサーとなり、現在に至る。
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