そして、次のステップとして、こうしたデータを活用して企業や店舗と消費者をつなげる新たなサービスを構築した。それが、2017年に開始した「Shufoo!オーディエンス・ターゲティング・アド」だ。
Shufoo!オーディエンス・ターゲティング・アドは、Shufoo!の内部で生まれたユーザーの行動ログデータを、主要なDSPやLINEが運用している「LINE ads Platform」など外部のプラットフォームで活用するというもの。子育て世代の主婦が多いというユーザー層の特徴に加え、興味のあるカテゴリーを絞り込んだり、ユーザーの“買い物行動圏”からエリアを絞り込んだターゲティングができる点が大きな特徴だ。
「Shufoo!を閲覧するタイミングというのは、“どの店舗に買いに行くか”という購買意識の非常に高い状態という価値を持つ。そこでShufoo!だけでなくサイト外(外部のアドネットワークなど)でもリーチを拡大することによって、より確度の高いリーチを実現してもらおうと考えた」(森谷氏)
冒頭に紹介した通り、Shufoo!は30代40代の女性が日常的に買い物に必要な情報を電子チラシに求めている。そしてそのチラシを提供する11万にも及ぶ店舗は、スーパーマーケットだけでなくドラッグストア、ホームセンター、アパレル店、飲食店、サービス店舗など多岐に渡る。こうした購買意欲の高いユーザーの行動から日常的に生みだされる膨大な行動データを、企業のコミュニケーションに活用することで、ユーザーニーズと企業ニーズのマッチングを期待できるのだ。
「企業は購買されたデータ=レジのPOSデータは保有しているが、購買前の情報=ユーザーの興味関心に関する情報は持っていない。その点がShufoo!の強みになるのではないか」(森谷氏)
森谷氏によると、このShufoo!オーディエンス・ターゲティング・アドはすでに多くの企業が導入しているという。例えば、水泳教室を展開するイトマンスイミングスクールでは、幼児向け体験教室の募集にこのShufoo!オーディエンス・ターゲティング・アドを導入。キッズ、ベビー、おもちゃのカテゴリーを閲覧しスクールの所在地域を買い物行動圏とする25歳から39歳の女性ユーザーを対象に広告を展開したところ、広告メディア独自のターゲティングとの比較でCTR1.6倍、CVR(体験応募数)は12.5倍になるなど高い反応率を記録したのだそうだ。
「例えば、ブランディングや認知拡大、公式LINEアカウントの友だち獲得、お得なキャンペーン訴求、アプリのダウンロード促進など、目的は多岐にわたる。メーカーとShufoo!掲載小売店が共同で行う流通タイアップキャンペーンの場合には、メーカーが小売店の許諾を得て特定の店舗を閲覧しているユーザーに対してターゲティングを行う場合もある」(森谷氏)