一方で、ハードCEOは製品戦略について説明し「オラクルは数年前から、クラウド向けにFusion ERPやHCM、サプライチェーン、セールスなど、すべてのアプリを作り替えた。これは競合他社とは大きく異なる点である。それによって、オラクルはクラウド市場で大きく成功をしている。アプリケーションビジネスは2桁成長を遂げており、シェアを拡大している」と発言。
そして「オラクルでは、オンプレミスのライセンスを、クラウドでも利用できるBYOL(Bring Your Own License)を用意したことで、クラウド利用を促進することができる」と同氏は強調した。
さらに「データベースにおいてはAutonomous Databaseを投入し、自律型という新たな提案を行った。AIによって、データベースの更新、最適化、パッチの適用、チューニングを自動的に行うことになる。オンプレミスのデータベースの場合、すべてにパッチを適用するには9カ月程度の期間が必要であったが、自律型ではこれが瞬時に行われる。数10万人のOracle DBAの作業を解放し、付加価値の高い仕事に従事できるようになる」と同氏は説明した。
そのほか、同氏は「Fusion ERPは前年比60%増となっており、この成長は今後も継続していくだろう。ネットスイートは買収した時点では16%増の成長であったが、今後の予約が増えており、さらなる成長が期待できる。小売や金融などのバーティカル分野でも20%の成長を遂げている。Taleoは1桁の成長率に留まっているが、この部分ではFusion ERPのHCMに力を注ぐことになる」と語った。
また、クラウドの成長見通しが鈍化したことで、オラクルの株価が低迷していることについて同氏は「極端に高いところから落ちているのは確かである。金利が上昇したり、株式市場からの資金流出などの傾向もある。オラクルは自分たちの戦略を推進しようとしている。オラクルは、クラウドのビジネスにフォーカスし、今後は戦略的にも、技術的にも、自律型データベースに移行するつもりである」と述べた。
さらに、買収戦略についてもハードCEOは以下のように言及した。
「10年前にポピュラーだった技術を持つ会社を買うつもりはない。買収しようと考えているのは、10年後にどんなおもしろいことをしてくれるかが期待できる会社である。買収の対象があれば、これからも選択を厳しくしながら、それを推進していくだろう。ネットスイートの買収時も、そこから6カ月前にこの案件について聞かれたら、そうした話はないと言うだろう。この立場では、絶対的なステートメントを言わないことにしている」
最近、ハードCEOが痩せたことを指摘する声もあったが「確かに1年前に比べると、8~9ポンド(約4kg)は体重を減らした。少し動きが速くなった」とジョークを述べていた。