「マーケティングインテリジェンス」と「データインテリジェンス」をアジア圏を中心に展開しているAppier。AIを軸に事業を展開する同社から見て、企業がAIを導入する際に注意しなければならないことはあるのだろうか。
専門スキル不要のAIでも、多面的に扱いたいならAI人材はいたほうがいい
同社のAixonはドラッグ&ドロップによる操作やAppierの保有するデータ活用が可能な点など、AIになじみのない企業でも使えるように考慮されている。近年企業は、自社に「AI研究室」を設置したり、「データサイエンティスト」の採用に力を入れたりと、AIを扱えるように舵を切るケースが増えてきたが、誰でも簡単にAIが使えるようになるならば、そのような取り組みは無駄なのだろうか。
「企業のベクトルと我々の目指すAIの方向性が違っているとは思いません。実際に、Aixonを使い始めた企業が、分析スキルやデータ処理技術を保有している人材を新たに採用するというケースもあります。さまざまな方向でAIを活用できるようになるので、無駄ではないでしょう」と、マジック氏。
データサイエンティストがいなくてもAixonを使うことはできるが、だからといってAIに関するレベルアップを求めなくていいわけではない。より高度な分析を目指すのであれば、ツールを使う側も成長してくことが重要なのだ。自社で大量のデータを保有していない企業でもAixonを使うことはできるのだが、こちらも人材と同様のことがいえるだろう。
またマジック氏は「日本でAixonを導入していただいたLIFULL社では、4人データサイエンティストがいるのですが、より高度なレベルでAixonを活用していただいていると感じています」と、実際の例に触れながら、企業がAIの専門性を高めることの意味について説明した。
では、人材やデータ以外で、AIの価値を最大限引き出すために、企業が準備すべきことなどはあるのだろうか。
「Aixonを使ってどのようなユースケースを作っていくのか考えておくことは大事ですが、特に準備すべき前提要件などはありません。知識がなくても我々のカスタマーサクセスチームが全面的にバックアップします。Aixonを使える人材が1人もいない場合には、こちらから人材を派遣することも可能です。その際、時間やコストは気にしません。顧客企業の成功のために、最善を尽くすというメンタリティでやっています」
マジック氏の言葉からは、自分たちのサービスは顧客企業の成功のために存在するのだという強い意志を感じた。
さらに、マジック氏は「企業のマーケターはAIがなぜ役立つのかを理解する必要があるでしょう。AIはすでにある仕事をリプレイスするのではなく、オーディエンスのインサイトなどを提供してくれるツール。マーケターは想像力を発揮させながら、AIをどのように活用していくか考えていくことが重要になると思います」と導入企業が持つべき心構えについて、持論を展開した。