多くの企業が「働き方改革」の取り組みを進めるなか、「RPA(Robotic Process Automation)」と呼ばれるソフトウェア・ロボットによる業務自動化の技術が注目を集めている。RPAは、データ収集、加工、集計、保存といった定型的なパソコン端末での操作をロボットが代行するもので、業務の品質向上と作業時間の短縮を実現する。
日本生命保険は2014年12月に、銀行窓販事業部門にRPAテクノロジーズが提供するソフトウェア・ロボット「BizRobo!」を2台導入した。これらのロボットは「日生ロボ美ちゃん」と名付けられ、2018年3月末現在、東京本部で合計2種類6台が26業務を担当しているという。
本稿では、同社がこれまで取り組んできたロボットによる事務プロセスの自動化や組織へのRPA活用拡大方法などについて、日本生命保険 金融法人契約部 金融法人事務開発グループ 専門課長 大岩根誠氏に話を伺った。
業務量の増加が予想されていた銀行窓販業務へRPAを導入
同社がRPAの導入を検討しはじめたのは2010年。銀行が代理店となり窓口などで保険募集を行う「銀行窓販」の業務領域では当時、2013-2014年に契約件数の増加が予想されていた一方で、これを担当する金融法人契約部では、システムサポートが追いついておらず、人手による事務作業が多く残っているという課題を抱えていた。
「お客様から保険金の請求や住所変更などをしていただく際には、当社と書面のやりとりを行っていただく必要があります。当社では従来、お客様からいただいた書面の情報を手入力で基幹システムに登録していましたが、まずここにRPAが使えないかと考えました」(大岩根氏)
従来、保険加入者から返送された書類を1件ずつ確認しながら番号を手入力することでシステムに登録していたというが、RPA導入後は、電話による受付を行った後に、証券記号番号や手続きの種類など登録に必要な情報を入れたバーコードをあらかじめ書面に付与してから加入者へ用紙を送付することで、書類の返送時にバーコードを読み取ってCSVデータ化し、これをロボットが自動で読み取り処理をする流れとなった。
大岩根氏は、「ロボットが扱える形でデータを用意しなければならないというのがRPA導入のポイントでした。当社では、バーコードの読み取りという形で、ロボットに渡すインプット情報のデータ化作業の効率化に対応した形です」と説明する。
また従来は、入力ミスがないよう二重体制で人手によるチェックを行っていたが、RPA導入によりこの作業も不要になった。