アプリ開発パッケージを使いながら、独自のスマートキー機能も追加
今回、「FRESA CLUBアプリ」を開発するにあたって、GMO TECHが提供しているアプリ開発プラットフォーム「GMOアップカプセルPRO」が導入された。同プラットフォームは、企業のオリジナルアプリを簡単な操作で作成・管理できるサービス。プッシュ通知や、位置情報と連動した通知の配信、スタンプカード機能、クーポン機能などに加え、独自機能の追加や他のシステムとの連携に対応している。
木曽氏は、「GMOアップカプセルPRO」を選択した理由について、「メニュー、テンプレートがそろっていたことに加え、パッケージでありながら、機能をカスタマイズできるなど、柔軟性がある点が魅力的でした」と語る。
そのほか、他社に比べて、納期とコストにおいても、「GMOアップカプセルPRO」にアドバンテージがあった。「FRESA CLUBアプリ」の開発にかかった期間は約半年だ。公式サイト、PMS(宿泊施設の管理システム)や鍵システムと連動しているため、インタフェースの開発、接続テストに時間を割いたとのこと。
ちなみに、GMO TECHによると、「GMOアップカプセルPRO」でスマートキーの機能を提供したのは初めてだったため、開発には苦労したようだ。アプリだけで提供する機能ではないため、デバイスとの連携が必須となる。この辺りが、従来のシステムとIoTシステムの開発の異なる点と言える。
アプリに磨きをかけて、ファンを増やしたい
企業が新たなシステムを導入する際、普及のカギを握るのが従業員の教育だ。相鉄フレッサインでは全店舗に「FRESA CLUBアプリ」を導入したが、20ホテル以上の従業員に教育を行ったそうだ。
「ホテルは24時間運営しているため、従業員を一堂に集めて教育するわけにはいきません。4つの店舗を1つのグループとして、各店舗から代表者を集めて教育を行い、代表者に各店舗で教育を行ってもらいました」と、相鉄ホテルマネジメント マーケティング営業本部 セールス・マーケティング部 マーケティング担当係長 井上真紀子氏は話す。
「FRESA CLUBアプリ」の運用を始めてから約4カ月。従業員の方々も大分操作に慣れてきたそうだ。
木曽氏によると、「FRESA CLUBアプリ」の投資に対する効果として、顧客満足度とスタッフの業務効率の改善の観点から試算を行っているそうだ。
また、今後の展開としては、2020年を見据え、インバウンド需要に対推すべく、多言語化を計画している。海外の宿泊客もすでに「FRESA CLUBアプリ」を利用しているため、多言語に対応すれば、さらなる利用増加が見込めるだろう。
「まずは、アプリを使っていただくお客さまを増やしたい。そして、われわれのホテルのファン、リピーターになっていただきたい。そのために、機能を拡張していきます」と話す木曽氏。
取材をしている際、上野という場所柄か、海外の宿泊客を多く見かけた。昨今、海外からの観光客は事前にインターネットの口コミで情報収集を行っていると聞く。公式アプリの多言語対応を実現することで、容易に海外でアプリの利用者を増やしていくことができるのではないだろうか。