店舗での会計が終わり、おつり(ない場合もある)とともに受け取る「あれ」。筆者は、無頓着なせいか余程のことがない限り、「レシート」は受け取らない。受け取る場合にしても、財布の中でみるみる増えていき、管理が煩雑になるものだ。
そんな課題を解決すべく、2月13日に東京都町田市内27カ所の小売店舗で電子レシートの実証実験がスタートした。今回、記者会見に加え、店舗での実演・体験会の模様をレポートする。
町田市の小売27店舗で実証実験
実証実験では町田市内の小売店舗27カ所において、経産省が策定する電子レシートの標準規格の検証作業として、業種、業態の異なる小売店舗における、標準化された電子レシートプラットフォームの有用性を検証。また、消費者側としてはスマートフォン(スマホ)でレシートを確認でき、管理の簡素化を図ることを目的としている。
今回の取り組みは、経産省と新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「IoTを活用した新産業モデル創出基盤整備事業」の一環として実施。委託事業者の東芝テックをはじめ、小売り事業者が7社、システム担当が10社、スマホアプリ担当が7社、事業化担当が4者、ドキュメント/ヒアリング担当が1社の計30者と官民を挙げた大掛かりなプロジェクトだ。
経済産業省 商務情報政策局商務・サービスグループ 消費・流通政策課長 課長補佐(統括・企画担当)の林揚哲氏は「レシートは買い物客が持ち帰り、家計簿につけることは煩雑だ」と指摘する。
実証実験では、東芝テックの電子レシートシステム「スマートレシート」をベースに、電子レシートの標準データフォーマットおよびAPIを実装した電子レシートプラットフォームを使用。
同システムは紙として提供するレシートを電子化し、電子レシートセンターがデータとして預かり、消費者が自分のスマホで内容を確認することができる仕組み。これにより、ペーパーレスで、手元に紙のレシートを残さずにスマホで購買履歴の確認を可能としている。
実証実験で集めたデータは標準APIを用いて取り出し、レシート参照や家計簿、会計処理をはじめとしたアプリで利用するほか、購買データはデータプールに蓄積し、メーカーや小売、データ分析事業者がBIツールを使い、分析する。
また、購買データだけでなく、Webログ、IoTデータ(人流解析や温度、湿度、照度データなど)、気象情報などのデータもデータプールに蓄積し、販売データ(レシート)と掛け合わせて、例えば店舗オペレーション(商品在庫・スタッフ)の適正化やインストアプロモーションなどへの活用を想定している。
実証実験を行う店舗の内訳はミニストップが9店舗、スーパーマーケットの三徳が4店舗、ドラッグストアのHACが4店舗、ウエルシアが3店舗、ココカラファインが5店舗、東急ハンズが1店舗、銀座コージーコーナーが1店舗となり、2月28日まで実施。
連携するスマホアプリは、家計簿アプリ「マネーフォワード」「レシーピ!」、経費計算アプリ「Staple」、買い物補正で健康管理を行うアプリ「SIRU+」、「LINE」、バーチャルガチャを回して発行されるデジタルクーポンで販促につなげるアプリ「ガッチャモール」の6種類だ。
IoTデータの取得は、人流解析が日本ユニシスの人流解析サービス、温度・湿度、照度データが東京エレクトロンデバイスのTED Azure IoT PoCキットを活用する。