では、展示会場のなかから注目される顔認証ソリューションを紹介しよう。
顔認証による勤怠管理
オービックビジネスコンサルタント(OBC)と三和コンピュータが展示した「顔認証による入退、勤怠管理ソリューション」は、OBCの「就業奉行」を利用した勤怠管理サービスと、NECのNeoFace顔認証システム導入セットとの組み合わせによって、顔認証により、厳格に本人を確認した上で、勤怠打刻を自動的に行い、同時に入退室管理も行うソリューション。出退勤時に顔で認証し、打刻。部屋の鍵解除とも組み合わせることができる。オフィスでの活用のほか、食品加工業では衛生面から入室時に手に触れられない場所でも、顔認証で打刻しながら、入退出を管理。建設現場や医療、福祉の現場でも引き合いがあるという。
また、NECネクサソリューションズがPCで顔認証を行い、OBCの奉行シリーズにアクセスできるソリューションも展示した。
ニッセイコムが展示したのは、多要素認証でセキュリティを強化するソリューション。BLE Beaconとカメラによる顔認証を組みわせた多要素認証により、オフィス内や工場内の高度セキュリテイエリアへの不正侵入を防止するとともに、人の動線や作業時間についても管理できる。また、同社のERP製品「GrowOne Cube」で提供する人事/給与システムで、特定個人情報を取り扱う際にも、パスワードと顔認証を組み合わせることでセキュリティを高めることができるという。
インフォファームとシフトが展示したカメレオンコードを利用した現場改善では、カメレオンコードが持つ低コストで印刷ができ、iPhone内蔵のカメラなどでも認識できる汎用性、複数のコードを一度に処理できるという特性を生かしながら、顔認証技術を組み合わせることで、工場内での作業者の所在や動線を把握したり、これらの情報をヒートマップとして表示したりすることで、効率的な作業配置や設備レイアウトの改善などに活用できるという。また、カメレオンコードの動きを捉え、ビューワ上に表示することで、特定した作業者の細かい動きから無駄な動きを検出することができる。
自動報知システム
パトライトとウェッジは、顔認証を利用した「自動報知システム/インカム・館内放送」を展示した。
小売店において、顔認証システムで得意客などの顔を検知すると、表示灯の光や音、メッセージで知らせるほか、これを店員が持つインカムにメッセージ自動的に送信。店員がそれにあわせて接客が行えるという仕組みだ。
顔認証した情報をすぐに担当者に通知できる仕組みであり、顔認証を「おもてなし」に活用した事例のひとつといえる。また、万引き常習者が入店した際にも、同様の仕組みで店員に警戒を促し、犯罪が起きにくい環境を作るという。
ターゲティング広告や動線密度解析
NECディスプレイソリューションズのターゲット広告サイネージソリューションは、デジタルサイネージ「美映エル」を利用し、目の前に立った人をカメラで撮影した画像をもとに、性別、年齢などを判断。あらかじめターゲットごとに設定した広告を表示し、広告効果を高める。視聴者の属性や視聴時間などの結果をリアルタイムでグラフ表示できるため、販促計画などにも生かすことができる。
多機能カメラメーカーであるMOBOTIX JAPANでは、魚眼カメラをはじめとする幅広い製品ラインアップを活用したソリューションを展示。人数カウントや動線密度解析などを活用して、マーケティングに反映できる。さらに、サーマルカメラを利用して、体温が高い人を検知。これを顔認証と組み合わせることで、発熱者を特定することができる。
マンションの宅配ロッカーに利用
フルタイムシステムでは、マンションの宅配ロッカーを利用したソリューションを展示した。同社のマンションセキュリティシステム「F-ace(フェイス)」を利用することで、宅配ロッカーの開錠を顔認証で行えるようにするだけでなく、顔認証システムへの登録に宅配ロッカーのカメラを利用する点がユニークだ。顔認証を利用するには事前登録が必要だが、マンションなどでは管理人がいる時間帯に登録時間が限られるなどの制限がある。だが、宅配ロッカーのカメラを使うことで、24時間いつでも登録ができるようになる。登録時には部屋の鍵や暗証番号を使ってセキュアに作業が行え、さらに、登録した情報をもとに、顔認証でのエントランスの開錠、エレベータの行き先階の自動設定、子供が帰ってきた際のメール通知などの利用が可能だ。
レーザー動線計測を組み合わせたソリューション
日立情報通信エンジニアリングは、顔認証とレーザー動線計測を組み合わせたソリューションを提案した。同社では、レーザーを利用することで、ビル街区や公共施設、工場、イベント会場などの人の流れや通行頻度、滞留箇所などを計測できるソリューションを提供しているが、これにNECの顔認証技術を組み合わせることでも個人を特定し、動線を見ることができるようになるという。特定の人物の行動や人とのつながり、人的ネットワーク構築状況などの見える化により、効果的な働き方改革につなげられるとしている。
目的の映像を素早く検出
キヤノンマーケティングジャパンは、高機能なビデオ管理ソフトウェアと顔認証連携したパッケージを提案。同社グループのマイルストーンのビデオ管理ソフトウェア「Milestone XProtect」を利用し、顔情報をもとにして、録画映像からピンポイントで該当箇所を再生できる。自動生成されたサムネイルを使って目的の映像を素早く検出することができる。「撮りためる」から「映像を活用する」ことに変化できるソリューションだ。
認知症患者の離院、離棟防止
アイホンは、ナースコールと顔認証システムを組み合わせることで、認知症患者の離院、離棟を防ぐソリューションを提案した。認知症患者を事前に登録しておけば、病院内を徘徊した場合にも、顔認証によって、最寄りのナースセンターにコールしたり、看護師が持つスマホに名前と顔を表示したりする。異なる病棟やフロアの場合、看護師や警備員が患者の顔を知らない場合があるが、その際にもスマホには顔写真が表示されるため、適切な対応が可能になる。
遠隔地の防犯、監視
セーフィーは、同社が提供するSafieクラウドプラットフォーム、Safie対応カメラ、専用ビューワアプリに、NECの顔認証技術を組み合わせることによって、販売促進に生かしたり、セキュリティを強化したりといった用途を提案した。クラウドを活用することで、遠隔地の防犯、監視を行ったり、カメラをあらゆる場所に移動したいといった用途に最適化。さらに、顔認証技術により、常連来店客対応や防犯対策にも活用できるという。