--クラウド化が進んでいる状況下において、日本の顧客に対して、どのようなアプローチをしますか?
古舘氏:12月に着任してから、パートナーやユーザーと話す中で2つのオポチュニティがあると感じました。
1つ目は顧客のプライベートクラウドです。特に大規模なシステムに、まだわれわれの製品を導入しているケースは多くありませんが、金融や製造業などの企業で導入が始まっています。また、ハイブリッドクラウド環境で弊社製品を検討していきたいというポジティブな回答が得られているため、非常に可能性を感じます。
日本の大手企業ではバックアップはしていますが、災害などが発生したときに復旧に時間を要している場合が多いため、本当の意味でアベイラビリティの準備が不足しています。そのため、われわれの価値を発揮できる余地があります。
2つ目はパブリッククラウドについてですが、データ保護対策が準備不足であると感じています。連携を深めている国内外のパブリッククラウドベンダーとともに、ユーザーのワークロードのアベイラビリティを確保することを支援します。現在は引き合いが増えており、この領域については期待値が大きいと考えています。
--エンタープライズとSMBのユーザーニーズの違いはどこにありますか?
古舘氏:ベースは一緒です。なぜなら、両方の市場ともアベイラビリティを改善しなければならない、という問題意識を持っているからです。
しかし、エンタープライズのユーザーの場合はレガシーシステムを含め、さまざまな運用ルールや、しがらみがあるため簡単には変えにくいといった点などがSMBとの違いです。
一方で、SMBのユーザーは基本的に1人で複数の業務を行うため、操作性に対するニーズを満たす必要があります。そこへのアプローチを強化すれば採用の拡大が見込めると考えています。
--「Veeam Availability Suite v10」の国内提供の開始はいつごろを予定していますか? また、特徴的な機能を教えてください。
古舘氏:2018年上半期中の提供を予定しています。機能としては、クラウドの連携を強めるオブジェクトストレージとの連携、多様な環境に適用を可能にする機能、ストレージベンダーとの機能連携が目玉となります。従来からエコシステムの構築には注力していましたが、パートナーの協力を得て、さらに推進していきます。Veeam Availability Suiteのほかにも新製品を提供し、全体的にはクラウドへの対応が大きなものとなります。
例えば、日本の保険会社でVeeam Availability Suiteを活用しています。日本市場では、特にエンタープライズユーザーは実際の導入事例を重視する傾向があります。そのような意味では、事例があれば導入を検討している企業も採用に関心を持つため、今年は大きくブレイクする年になると考えています。
--2018年の展望はいかかでしょうか?
古舘氏:グローバルでは10億ドル企業を目指し、高い成長を継続していくことが目標のため、エンタープライズのトップ企業にフォーカスし、大型案件を獲得していきます。従来からSMBの市場ではナンバーワンのポジションを確立していることから、今後はエンタープライズ分野で、いかにナンバーワンを獲得するかがチャレンジとなります。