外国人観光客の流入が進む沖縄県だが、宿泊施設はどのような取り組みを行っているのだろうか。県内にある施設を訪れ、その実態を探ってみた。
手軽に更新できるインスタグラムで情報発信
那覇空港から車で約1時間。北谷町にあるAIENは、2017年9月にオープンした20~30代の若者が集まるホステルだ。人と人のめぐりあわせは不思議な力によるものであるという「合縁奇縁」が名前の由来。定員4名の個室が2部屋、畳が敷かれた混合ドミトリーと女性専用のドミトリーが用意されており、合計30名程度まで宿泊することができる。
同施設では、宿泊者のうち外国人は約3割で、そのうち7割が韓国からの旅行者だ。そのほかはオーストラリアやヨーロッパ、アメリカからの旅行者で、ダイビングのライセンスを取るために2週間~1カ月ほど連泊するという人もいるという。
そんなAIENが積極的に使っているのがインスタグラムだ。新メニューや、カフェスペースで開催されるポップアップショップ、ライブなどのイベント情報を発信している。インスタグラムを見てお店に訪れる人も少なくない。手軽に情報発信できて国内外多くの人にリーチできることから、その効果は大きいと感じているという。
ブログがきっかけで増加した韓国人観光客
世界遺産「今帰仁城跡」のある今帰仁村。細い坂道を上ると、沖縄らしい赤れんがの敷かれたベージュ色の建物が見えてくる。海の見える見晴らしのいい丘の上に佇んでいるのが、ホリデーホーム「somos」だ。人類皆兄弟という意味のスペイン語「somos uno」から名づけられた。宿泊棟にはSabadoとDomingoというコンセプトの異なる2つの部屋が用意されており、置かれているインテリアが異なるためか、部屋の印象もガラリと変わる。
somosに宿泊する50%以上は韓国からの観光客だという。車では空港から約2時間、通りから1本路地に入ったところに位置するため、好条件なアクセスとは言いにくいが、それでもはるばる韓国から足を運ぶ人は途絶えない。
その理由の1つが"ブログ"だ。韓国からの旅行者がブログにアップしたことで、日本国内よりも先に韓国内に広まった。特に、韓国の有名人が宿泊した様子をブログにアップしたことで、急激に広まったのだという。
オーナー自ら設計を手がけたという建物は、細部までこだわりが感じられ、ついつい写真に収めたくなる。そんな空間の演出もまた、"拡散される"ために必要な要素なのだろう。