--日本RPA協会の役割を教えてください。

大角氏:RPAの本質を正しく伝えることです。協会発足以来言い続けているのは、RPAはITのようなテクノロジーではなく、デジタルレイバー(仮想知的労働者)だということです。企業を支えるレイバーですから、きちんと扱う必要があります。誰を選ぶか、どう内製化するか、何を担ってもらうか、きちんとした目標と計画を持って取り組みを進めることが大切です。RPAは、企業の人事戦略を実行するためのHRの技術なのです。そのための研修を行ったり、全国をまわって啓蒙活動をしています。

協会のメインの活動は、RPAを正しく伝えるための普及活動ですが、ミッションは違います。協会のミッションは、企業にスケール力をつけてもらうことです。余力のある大手企業はまだいいのですが、人手不足で深刻な影響を受けているのは地方や中小零細企業です。地方の中小企業には、そもそも人が集まりません。そんななかで、既存の事業を継続し、新しい事業を創造していくためには、取り組みやすく、スケールできるRPAが欠かせません。そのビジョンを伝えていこうとしています。

--実際に、昨年はどんな取り組みを行ってきたのでしょうか。

大角氏:大きく3つの取り組みを進めました。1つは、ブームで終わらせないことです。RPAにおけるIT導入のアプローチは、失敗に向かうアプローチです。ITの技術ではなく、HRの技術として取り組みを進めることを強く訴えてきました。具体的には、PoCで小さく始めて「体感」してもらうことに注力しました。

2つめは、エンジニアの育成です。デジタルレイバーとしてロボを作って、現場に置くだけではうまくいきません。ロボを見て、間違ったら直す、新しい現場に適用する、といった作業をしていくことが必要です。それを社員の誰もができるように支援するのがエンジニアです。エンジニアによるサポートに力を入れました。

3つめは、きちんとしたツールを揃えることです。PCにインストールしてすぐに基本機能を利用できる「Basic Robo!」や、紙の書類を自動で電子データ化する「Scan Robo!」などを「Biz Robo! Station」としてラインアップしました。技術を評価して、デリバリーできるようにしています。

これら3つの取り組みの共通テーマは、主人公はユーザー企業だということです。われわれはRPA導入サービスで国内トップという自負があります。しかし、提供するものは、所詮はデジタルレイバーです。それをどの業務にどう使うかはユーザーが主人公として決めることです。われわれの仕事は、パートナーと一緒にその舞台を整えることです。昨年は、パートナーさんから協力をいただき、40を超えるロボのキャラクターを使ったソリューションを提供することができました。

--売上などの会社の業績はどうでしたか。

大角氏:昨年はRPA元年とも言える盛り上がりで、売上は劇的に上がりました。収益も予想以上で、安定した事業を展開できました。これは評価できると思います。

また、事業として重要な点として、広島にロボットセンターを設立できたことが挙げられます。8月から、広島のエネルギア・コミュニケーションズと共同でクラウドサービス「エネロボクラウド」の提供を開始し、クラウドを使って、地方の企業、公共団体の取り組みを支えることができるようになりました。ロボットセンターは、広島だけでなく、全国に展開していく予定です。