EvernoteやOneNote、Googleドキュメントなど、類似する他の製品との差別化ポイントは?
ラダクリシュナン氏:YouTubeなどのメディアやツールの挿入、画像ギャラリー、プレゼンモードに加え、コーディングを貼り付けながらもタスクリスト、テキスト、テーブルを同じスペースで提供するとともに、マルチデバイスに対応している点が挙げられる。競合他社では、これらの機能すべてを備える製品はなく、Paperは製作プロセスに必要な機能を凝縮したものだ。操作性や効率的な作業性などがユーザーにとっては魅力的なものであることから、ユーザーに喜びを与えるような製品開発を目指している。
ヴァーナー氏:デザイン的には、EvernoteやGoogleドキュメントはテキストエディタであるものの、Paperはあくまでもコラボレーションを行うためのワークスペースとして位置づけている。
米国におけるPaperの活用事例は?
ラダクリシュナン氏:Paperは柔軟性を備えるため、チーム内や部署内、部署を横断的した利用用途が多く、ブレインストーミング、プロジェクトマネジメントなどに加え、ドラフトの出し合い、議事録の作成などで活用されている。特にデザイナーからは、プロジェクトを管理するにあたり、Paperが優れているというフィードバックがある。
ユーザー数は?
ラダクリシュナン氏:正式版をリリースし、モバイルアプリの追加、タブレットのサポート、21カ国の言語対応などにより、大幅に増加した。Paperのユーザー拡大は、われわれの大きな目標の1つのため、引き続き投資も実施していく。β版の期間中は個人向けサービスのみだったが、正式版ではBuisinessでの利用が飛躍的に伸長し、数百万以上のドキュメントがPaper上で作成されている。
また、各企業における特定のチームだけでなく、全社的に導入しているケースも多くみられるようになってきた。米InVisionやShopify、PatreonなどもPaperを導入したことで、Eメールやミーティングの回数が減少したほか、社内における情報の透明性が高まったというメリットを享受している。
Dropbox Professionalに搭載しているPaperの技術をベースにしたShowcaseについては?
ラダクリシュナン氏:カスタマーのフィードバックから開発した。例えば、デザイナーがDropboxで作成したファイルをクライアントと共有する場合、フォルダにはパワーポイントなど複数のドキュメントがあり、それに対するアクセスの共有リンクをコピーしてメールを送付する。しかし、受け取ったクライアントがフォルダにアクセスしたものの、何をどのように見ればよいのか分からないほか、デザイナー側ではクライアントが確認しているか分からないなどの課題があった。
そのため、納品物を提供するためのインタフェースや、どのようなファイルなのかという説明書、確認の優先順位が高いものなどをコメントすることで、クライアントが確認しているか否か判断でき、透明性が担保される。Paperにより、コンテンツを製作するワークフローの中でDropboxが一貫してプラットフォームを提供することを可能としている。
今後、実装を検討している機能は?
ラダクリシュナン氏:Paperの大きな成長を感じているため、Dropboxのストレージと連携を進めており、一例としてDropboxからPaperの検索などに取り組んでいる。さらに、デザイナーやマーケティングチームでの利用を促進しており、そのような業種のワークフローに加え、デザイナーやマーケターが使用しているツールの選択肢などを研究しつつ、サードパーティーツールとの連携にも取り組む。また、パフォーマンスの向上に対して投資し、より操作性を追及していく。
将来的なデザインの方向性は?
ヴァーナー氏:デザインに関するアプローチは製品開発と比べ、それほど異なることはないが、4つの重要な柱が存在する。1つ目が純粋な製品作りを目指す「クラリティ」、2つ目がデザインに遊び心を持つ「プレイフル」、3つ目が「フォーカス」、4つ目がユーザーの信頼を得るためにデザインする「トラスト」だ。