IDC Japanは10月19日、AR/VRの市場動向の最新調査に関する説明会を開催した。説明会では、世界と日本のAR/VR市場の最新調査結果に加え、AR/VRが抱える課題、ビジネスに与えるインパクトなどが紹介された。 米国IDC ワールドワイド モバイル デバイス トラッカー プログラム バイスプレジデント ライアン・リース氏は、初めに、VR市場について説明を行った。
リース氏は「今年はVR市場においてシェアを巡る競争が始まった」として、市場を成長させる要因を3つ挙げた。1つ目の要因は「ハードウェアの出荷」だ。主なハードウェアは2016年に出荷されており、多くの機種が今年後半までに出そろうという。
2つ目の要因が「プラットフォームの拡大」だ。Windows、Android、PS4に加え、Vive/Steam、Oculus、Windows Store、GoogleのスマホVRプラットフォーム「Daydream」などがリリースされている。3つ目の要因が「コンテンツ市場の勃興」だ。アグリゲーターが数多く登場し、広告市場も展開が始まった。
IDCではVR機器を「スクリーンレス型」「ケーブル型」「スタンドアロン型」に分けて、市場動向を分析している。2017年第2四半期のVR市場においては、スクリーンレス型のシェアが54%、ケーブル型のシェアが増加して42%を獲得したという。
スクリーンレス型においてはSamsungが50%と第1位のシェアをとっており、製品の平均価格は前四半期の83ドルから77ドルに下落している。ケーブル型においては、ソニーがダントツで首位を獲得している。スタンドアロン型は現在のところ、ほとんどシェアがないが、2021年にはケーブル型と肩を並べるほどのシェアが予測されている。
また、2017年第2四半期のヘッドマウントディスプレイ(HMD)のシェアについては、上からSamsung、ソニー、Facebook、TCL、HTCとなっている。Samsungは「Galaxy Note 7」の爆発以来、停滞しており、ソニーは首位のSamsungに肉薄しているという。
リース氏は、VRが抱える課題として「インタラクションが原始的」「PCのリソースに対する要求が高く、多くのデータが必要」「マーケティングと消費者の教育が必要」「社会的な影響力を評価する必要があること」を挙げた。現時点では、VRのメリットがわかりづらいので、普及に向けて、消費者に対する教育が必要とのことだ。
VRのビジネスで活用されるようになるには、「コンテンツ制作において、ハードウェアとソフトウェアの両面での支出が必要」「次世代型のリアルタイムコンテンツデリバリーを実現するには投資が必要」「コンテンツが利用されるには、ハードとソフトの普及が必要」の3つが課題となるという。