包括的なデータアナリティクス

世界中のシステムを相互につなぐ大規模なネットワーク接続を実現したとします。おそらく、その最大のメリットは、瞬時にデータにアクセスし、収集したすべてのデータを分析できることにあります。この処理は、意思決定を自動化し、異常なデータが検出された際の修正処理で生じる無駄な遅延を排除するうえで不可欠です。このようなニーズに対応可能な未来のネットワークを構築するために、巨額の費用を投じて研究活動が行われています。世界中のアルゴリズムの専門家が、1msの遅延、10 Gbpsのスループットという要件を満たすべく競い合っているのです。このような流れに伴い、ソフトウェアに対する新たなニーズが生まれています。1つは、多様な処理アーキテクチャに処理要素を簡単に実装(デプロイ)できるようにし、最小限の改変(できれば改変なし)によって別のプロセッサに再び実装できるようにすることです。もう1つは、膨大な数のノードからのデータをあらゆるデータ形式で扱えるようにするといった具合に、高いオープン性を実現することです。

NIは、テストを担当する組織全体にわたり、膨大な量のデータをインテリジェントかつ簡単な方法で標準化/分析/報告できるようにするサーバ製品の開発に注力してきました。それらの製品では、主要なコンポーネントにより、まず基本的な分析とデータ品質のチェックが行われます。それに続き、ファイルに対して前処理を施し、メタデータ、単位、ファイルの種類といった事柄について自動的に標準化を施すためのアルゴリズムも用意されています。得られたデータの内容に応じ、ソフトウェアによって実行するスクリプトがインテリジェントに選択されます。リアルタイムで実施するデータアナリティクスの複雑さを緩和し、ユーザが最大の関心事であるデータに集中できるようにするには、このような種類のインタフェースが不可欠です。

分散システムの効率的な管理

分散配備されているすべてのハードウェアを、中央(主に遠隔に位置する)から効率的に管理したいというニーズは以前から存在していました。システムがネットワーク接続によって大規模に実装されるようになったことで、そのニーズにも変化が生じています。今日のシステムでは、1つの実装を数百から数千も複製する必要があります。次に必要になるのは、それらの管理を一元化することです。システムに実際にアクセスすることなく、リモートに配備されたハードウェアのダッシュボードをリアルタイムに表示できるようにするといった具合です。

図3. SystemLinkは、分散型ハードウェアシステムの管理向けに、Webベースのインタフェースを提供する

NIのSystemLinkは、革新的なソフトウェアです。これを利用することにより、デバイスの構成、ソフトウェアの実装、データの管理など、システムで必要な調整作業の一元化が容易になります。その結果、管理作業の負荷と、システムの管理に伴う物流コストを低減できます。また、動作の状態と健全性の把握を促進することで、組み込みシステムのテスト時間/稼働時間の改善を図ることが可能になります。分散システムの管理が簡素化されることに加え、LabVIEWやC++などのプログラミング言語に対するAPI(Application Programming Interface)も提供されます。

もう一度、自問を

ここまでに説明したように、NIの各製品には、それぞれに必要なイノベーションが盛り込まれています。それだけでなく、製品群全体を通して見た場合にも、ソフトウェアに対して継続的に投資を行ってきたNIの取り組みの成果が表れていることがわかります。各ソフトウェア製品が本質的に相互運用性を備えていることから、NIのプラットフォーム上では独自の組み合わせを実現することができます。この点が他社製品とは一線を画すNIのプラットフォームの特徴です。NIのプラットフォームはヒッグス粒子の発見に貢献しました。Qualcommがテスト時間を1/100に短縮した際にもNIのプラットフォームが使われました。NokiaとSamsung Electronicsが5Gの研究を行うためのソリューションとしても、NIのプラットフォームが選択されました。このように、ソフトウェアを中心とするNIのプラットフォームは、世界で最も難易度の高い課題を解決するために技術者が使用する基本的な要素となっています。

もう一度自問してみてください。現在使用しているツールに、あなたはどれだけの安心を感じていますか?。

著者プロフィール

Jeffrey Phillips(ジェフリー・フィリップス)
National Instruments ソフトウェア製品プリンシパルマーケティングマネージャー

NIのストラテジックマーケティング部門でセクションマネジャーを務め、LabVIEWを含むNIのソフトウェアプラットフォーム全体のアウトバウンドプログラムを統括している。市場のニーズ、期待値の把握、マーケティングメッセージの策定のほか、既存・新規顧客に対するLabVIEWの情報共有を主に担当している。

2005年にアプリケーションエンジニアとしてNIに入社。以来、マーケティング部門で重要な任務に従事。LabVIEWのシニアマネジャーを務めた際は、LabVIEW開発システムの基幹的な機能のサポートを担当した。

LabVIEW 2009、2010、2011のローンチ時の責任者も務めた経験もあるほか、現在はIoT、5G、ソフトウェアプラットフォームのスポークスパーソンとしても、重要な役割を担っている。

また、LabVIEW認定開発者の資格を活かし、ロボット競技会「FIRST」のメンターとして、小中学生の指導にも携わる。

機械工学の学士号を取得(テネシー大学卒)。