アット東京は2000年に設立され、都内では4つのデータセンターを運営している。なお、同社がトップレベル事業所の認定を受けるのは、2012年度の中央センターに続いて2カ所目で、2017年度も第3センターのトップレベル事業所申請を予定しているという。
一般的なデータセンターには、コンピュータ室のサーバを稼動させるため、特高/高圧の受変電設備、非常用の発電機設備、UPS設備がある。また、サーバを冷やす空調系設備として、空調機、冷凍機、冷却塔熱源設備があり、ほかにネットワーク設備、セキュリティ設備などもある。
アット東京の省エネの取り組みを説明する技術・サービス本部 課長 三井紀生氏 |
アット東京 技術・サービス本部 課長 三井紀生氏によれば、データセンターのエネルギーの使用量においてはUPS負荷が一番大きく、次が空調系設備の動力負荷で、以下、電灯負荷、受配電トランス損出と続くという。ただ、一番電力消費の大きなサーバ電源であるUPS負荷は使用電力の削減が難しいため、空調系設備負荷や電灯負荷、受配電トランス損出の削減が省エネにつながるという。
同社では、2000年代に設計したデータセンターにおいては、冷水温度の見直し、運転冷凍機に対しての冷却塔運転台数の見直し、空調室内機のチムニー設置、各種照明のLED化、コンピュータ室でのキャッピング化、空調機のインバータ化に取り組み、2010年代の省エネを意識して設計したデータセンターでは、フリークーイング(冬場は外気を利用した冷却)の活用、ホットアイルコンテイメントの実施、エネルギー消費の見える化(DCIM(Data Center Infrastructure Management)ツール導入)などを行ったという。
運転冷凍機に対しての冷却塔運転台数の見直しでは、それまで冷却機1台に対し、冷却塔1台という構成だったものを、冷却機1台に対し冷却塔2台という構成に変更し、冷却機1台あたりの風量を削減することで51%の冷却塔電力を削減したという。
また、コンピュータ室から戻ってきた温められた水を、冷凍機に戻す前に冷却水で直接熱交換を行うプレクール運転により、冷凍機の運転効率を最大5.6%向上できることを確認したという。
そして、DCIMの導入では、PUE値(Power Usage Effectiveness:データセンター全体の電力量をIT機器の電力量で割ったもの。1に近いほど効率的)のリアルタイムでの見える化、冷却塔運転管理、ラック負荷管理、ラック前面温度の管理が行えるようになり、省エネに対する意識向上に寄与したほか、ラック負荷と空調負荷の相関関係がわかるようになったという。