「われわれがお客さまに紹介する時は"Azure"ではなく、"Microsoft"と言います。エグゼクティブ層にはAzureという名称がまだ認識されておらず、Microsoftなら普段使っているWindowsやExcelの企業としてなじみがあります。AWSはよくわからないと言われて、『Amazonが提供するサービスですよ』と言うと、『本を売っている会社でしょう』と言われることもあります」と中村氏は笑う。

しかし、Azureはクラウドについて十分な知識を持っていない人がイメージで選んでいるわけではない。既存システムが動くかどうか、他社サービスと連携できかどうか、保守を任せられるか、安全性は十分かといったような判断をプライムストラテジーに任せた上で、Microsoftを選択していると言える。

「AWSは、開発向けのインフラとして使いたいエンジニア系企業に人気です。いわば、自由度を重視しており、自分たちで機能を見て選択できる人たちですね。当社はWeb系の需要が高いことや、手離れのためにクラウドを選択したい企業が多いため、Microsoftを採用することが多くなっています」と中村氏。

自身もMicrosoft Azureのユーザーであるという立場からは「社内システムに関しては、クラウドはMicrosoftが最強だと思っています。Active Directoryの利用やOffice 365との組み合わせもAzureなら簡単です。APIも公開されているので外部サービスとの連携もしやすいですね」と語ってくれた。

ハイブリッドクラウドは過渡期の存在

現在、ハイブリッドクラウドという形が注目を集めている。プライムストラテジーもハイブリッドクラウドのユーザーであり、顧客の中にはハイブリッドクラウドを選択している企業も少なくない。そうした中で、中村氏は今後を見つめた時、この状態はそう長く続かないだろうと指摘する。

「企業の理想はフルパブリッククラウドです。自社でシステム保守を行う必要がなく、すべてをクラウドに任せられるのが理想。いずれはパブリッククラウドと、それと連携できる各種サービスを組み合わせるという使い方が主流になるでしょう。現在の課題は性能とコストですが、年間5%くらいの感覚でコストパフォーマンスがよくなっています。いずれは企業の要求に十分応えられるものになって行くはずです」と中村氏。

もちろん、すべての企業が完全クラウド化を目指すわけではない。なんらかの事情を持って一部をオンプレミスで残すということは十分あるだろう。しかし、主流としてはクラウドファーストになって行くだろうという見解だ。

「ハイブリッドクラウドは、コストと運用負担をはかりにかけて選択する過渡期の存在だと感じています。もちろん、すぐの変化ではありませんが、5年後、10年後にはクラウド化がかなり進んでいることでしょう」と中村氏は語った。