入念な準備の上、移転は2016年4月に実施された。当初から希望されていたショールームはオフィス入り口部分に設けられた。提案型営業へと変化するために、ショールームで各事業部の製品を営業マンが自ら紹介するスペースが必須だった。今までは他部門への興味が薄かった社員たちも、進んでウシオ電機全体の事業を紹介できるように特訓している姿も見られた。オフィスではフリーアドレス制も導入。社員が交流できる場として、オフィス中央に人が集まれるハブエリアを設置したほか、社内外の方々との歓談の場として利用できるホワイエも作られた。
オフィスはハブエリアを挟んで大きく2ブロックに分けられ、各ブロックに2部門が展開。自分が割り当てられた側の範囲で自由な席で仕事ができるようになった。簡単なミーティングができるようなスペースが窓際および壁の近くなどに数多くもうけられている。
「オフィスエリア自体は旧オフィスと比較して15%ほど狭くなっています。またオープンミーティングエリアなどを充実させた結果、執務エリアの席数は人数の7割程度に抑えていますが、オープンミーティングエリアまですべて使えば、社員数の1.5倍分の席があります。外周りの社員が多い中で、無駄な席が減りましたし、たまたま人数が多くなる時があっても居場所がないというようなことはありません」と西畑氏は語る。
ウシオ電機には1700名ほどの社員がおり、このオフィスで働いているのは本社および営業を中心とした約230名だ。人数の調整と、フロアの工夫によって新しいショールームやハブエリアを確保しつつ、執務エリアも広々と働きやすい環境を実現した。
会議室は細かく分割する形で旧オフィスと同じ数にしたが、役員専用会議室の数を減らしたり、オープンミーティングスペースを増やしたことにより、会議室が利用しやすくなったという。また、机と座席が一体型の会議室を作るなど、使い方の自由度を上げることも意識している。
「以前はお客様にいらしていただいても、来客用の会議室が空いていないということがありましたが、そういうことがなくなりました」と瀧澤氏は語る。