デジタル教材をはじめ、IT技術を活用した教育関連の最新製品やサービスが一堂に会する大規模見本市「第9回 教育ITソリューションEXPO」が5月17~19日に開催された。8回目となる今回は、"学びNEXT"と題した特設エリアが設置され、最先端のテクノロジーを活用した教育プログラムや教材関連の出展が目立っていた。そんな中から会場で目を惹いていた今後話題となりそうな製品やサービスの一部を紹介したい。

今回の見本市の中でも特に出展が多かったのは、"プログラミング教育"向けの教材だ。プログラミング教育が2020年から公立小学校でも必須科目となることが決定していることを受け、学校をはじめとする教育機関向けのものから一般家庭向けまで出展が相次いでいた。

プログラミング教育用の教材で最もオーソドックスなものは、ロボットを動かすためのプログラミングを学ぶというタイプだ。キットになったロボットを自身で組み立て、パソコンやタブレット上のソフトやアプリを使って動かす仕組みを学ぶというものが主流だが、小型のドローンを動かすプログラミング教材が登場していたのが印象的だった。

ドローンのプログラミング教材も登場。Makerblockの「Airblock」とケニスの「CoDrone Lite」

その他注目を集めていたのは、プログラミング学習に加えて、+αの要素がある独創的な製品だ。ワイズインテグレーションの「ソビーゴ」もその1つで、子ども用プログラミング専用パソコン「Ichigojam」とキーボードがセットになっているのが特徴。キーボードで実際に簡単なプログラミング言語を入力するという他の教材よりも一歩進んだ教材でありながら、段ボール製のロボットを採用。ロボット自体の組み立てから装飾までをクラフトワーク感覚で楽しむことができ、創造性も育むことができるという二重の教育的要素がある。

ワイズインテグレーション「ソビーゴ」。クラフトワーク感覚で組み立てられる段ボール製のロボットというとっつきやすさとは裏腹に、プログラミングは小型パソコン「Ichigojam」によるキーボード入力で行う本格派教材

リンクスインターナショナルの「PIPER」も独創的な製品。子どもたちに人気のゲーム「マインクラフト」をモチーフにした電子工作学習ツールで、マインクラフト専用ゲーム端末が組み立てられる。「Rasberry Pi」や液晶モニター、バッテリーなどセットに含まれるパーツを組み立てながらコンピューターの仕組みを学ぶことができる。

「マインクラフト」専用ゲーム端末を自作しながら電子工作が学べる、リンクスインターナショナルの「PIPER」

一方、低年齢向けにパソコンやタブレットを使わずにプログラミングの原理を学ぶことができる教材も少なくなかった。中でもfor Our Kidsが8月に一般発売を予定している「PETS」は、本体上部の穴に処理命令用のブロックを直接挿し込むことでロボットが指示どおりに動作する仕組みで、プログラミング的思考を早期に体感できるという教材だ。

コマンドのブロックを本体に挿し込むことでその動きを確かめながらプログラミング的思考を理解できるという、for Our Kidsの「PETS」

その他、ブロック型モジュールを使用した電子工作学習教材も今後ますます脚光を浴びそうな教材だ。中でも目新しかったのは、リンクスインターナショナルが出展していた「SAM」。ブルートゥースを搭載した、スイッチ、LED、センサーなどの機能を持つブロック型の各モジュールが互いに認識、通信することができ、独自のビジュアルプログラミングソフトにより、マウス操作だけで直感的にプログラミングを実現する。

Bluetoothによって、モジュール同士が直接通信できる仕組みを持つブロック型の電子工作教材「SAM」。PCソフト上で、ビジュアルをマウスでつないでいく直感的な操作でプログラミング的思考の初歩を学べる

コルグの「little Bits」も今夏発売予定の新製品を多数展示。磁石でブロック感覚で電子回路をつないで電子工作が行えるモジュールキットだ

プログラミング以外で、トレンド感のある製品としては人工知能(AI)を活用した教材だろう。AKA LLCの「Musio」は、機械学習の専門家・データサイエンティスト・自然言語研究の専門家によるチームによって開発された英語教育用のロボット。英語で話しかけると会話ができるロボットで、人工知能による学習能力があり、使うほどに能力が上がっていくという。

シャープが展示していたロボホンのプログラミング教育ツール。Scratch型のプログラムでロボホン専用のブロックも用意されている

人工知能を搭載した英会話ロボット、AKA LLC「Musio」。日常会話程度の自然なコミュニケーションが可能なロボット相手に会話の練習が手軽にできるのが魅力