それぞれの講演のあとには、パネルディスカッションが行われ、東日本旅客鉄道 取締役副会長の小縣方樹氏、三井住友銀行 取締役専務執行役員の谷崎勝教氏、米IBM シニアバイスプレジデント兼IBMリサーチディレクターのアーヴィン・クリシュナ氏が再び登壇。日本IBM コグニティブ・ソリューション事業担当の松永達也常務執行役員がモデレータを務めた。

パネルディスカッションの様子

東日本旅客鉄道の小縣氏は、「前回の東京オリンピックにあわせて、新幹線が完成したが、当時は、これからは鉄道がだめになり、高速道路が重視されると言われた流れを変えることができた。今回も新たな流れを作るきっかけができるだろう。一方で、現場の担当者が持つ知識である『暗黙値』を、いかに『形式値化』して次世代の人材にノウハウをつなげるかが大切である」と発言。

三井住友銀行の谷崎氏は、「前回の東京オリンピックはハードウェアが変わったが、今回の東京オリンピックでは、ソフトウェア、アプリケーション、サービスが画期的に変わる。デジタル化が進む一方、セキュリティ対策も大切になる。2020年に向けてなにができるのか、といったことに取り組んでいるところだ」とした。

また、米IBM シニアバイスプレジデント兼IBMリサーチディレクターのアーヴィン・クリシュナ氏は、「企業のメリットだけでなく、顧客のメリットを追求しているからこそ、IBMのAIやコグニティブが活用されている。これは、顧客志向のアプローチであり、そこにデザインシンキングの世界がある。これはもともと自動車メーカーが取り入れてきたものであるが、いかに、顧客とインタラクションを取るかが大切であり、ITがそれを実現していく。これを実践する具体的な場が、Bluemix Garageである。ここでは、顧客ごとのユースケースを示すことができる」とコメントした。

最後に、日本IBM コグニティブ・ソリューション事業担当の松永達也常務執行役員は、「今日、日本において、3つの提案を行う」として、Watsonを活用するアプリケーション開発の資格制度をスタートすること、業界に特化した「学習済みWatson」をラインアップすること、スターターキットやプロフェッショナルパッケージ、働き方改革に向けたコグニティブデータサーチを提供し、コグニティブビジネスり取り組みを支援する体制を整えることを発表した。

日本IBM コグニティブ・ソリューション事業担当の松永達也

「今後は、学習済みのAIをいくつラインアップできるかが、競争のポイントになってくるだろう。日本では、1億人にWatsonを使ってもらいたいと考えており、それに向けて、業界に特化した形で、80の学習済みAIを提供する。そのひとつとして、IBM Watsonを活用した次世代超高速開発ソリューションを提供し、新たな開発プロセスを提供する。開発から実装し、運用するまでの時間を短縮できる。また、Watsonスターターキットは約100万円であり、Watsonは高く技術ではなく、低価格で利用できることも知ってもらいたい」とした。

業界に特化した形で、80の学習済みAIを提供