次世代のクルマ向けAIとはどのようなものなのか
ちなみに同社は、同社ブランドとして自動車(OEM)メーカーにソリューションを利用させるようなことはない。例えばAppleは「CarPlay」、Googleであれば「Android Auto」といった名称が存在するが、同社の場合はOEMメーカーが自社のブランド戦略に併せてカスタマイズすることが可能なパッケージとしての提供となるので、そこに他社の技術を組み合わせるといったような付加価値を生み出すこともできる点が特徴となっている。また、Automotive Assistantが提供しようとしている領域も、「駐車場」「ガソリン」「POI(Point of interest)」「レストラン」「トラベルガイド」「音楽」「メッセージ」「その他」と幅が広いことも特徴と言える。
そんなAutomotive Assistantだが、実はすでにOEMメーカー向けにユーザーにとって最適な駐車スペースを検索する「Smart Parking」ならびにユーザーにとって最適なガソリンスタンドを検索する「Smart Fuel」の2つの機能が提供済みである。このほかにも、インテリジェントなPOI検索を可能とし、使うごとにユーザーの好みを学習していく「Smart POI」ならびにクルマとその機能に関する取扱説明書でも対応できない質問にも答えてくれる「Smart Car Manual」の2つを、それぞれ2017年5月および6月に提供を開始する予定だという。実は2016年秋の時点では、Smart POIは2017年1月に、Smart は同6月にそれぞれOEMに向けて提供する予定であったのだが、Smart POIに関しては開発遅延が生じており、5月へとずれ込んだとのことであった。
また、この4つの機能以外にもメッセージから本文と意図を抽出し、内容によっては返信を自動生成し、ドライバーに提案してくれる「Smart Messaging」、現在地や目的地に関する質問への回答や見所を推薦してくれる「Smart Travel Guide」、音楽の検索やリコメンデーションをしてくれる「Smart Music」、パーソナライズされた文脈を理解したうえでレストランをリコメンデーションしてくれる「Smart Restaurants」などの開発が進められているとするほか、「Custom Domain」としてOEMメーカーと一緒に開発を行い、特定領域でスマートなUXを実現していくといったOEMメーカーが本来考える領域まで踏み込んでいくとしており、より高度な自動車市場での音声認識の実現を目指していくとしている。
なお、同氏によると、開発に際しては通常15言語への対応を図っており、日本語もその中に含まれるとのことであり、日本の中でクルマと対話しながらドライブを楽しむことが可能になる日もそれほど遠くない未来に訪れるかもしれないとのことであった。