最後に紹介されたのが、インナーコーリングのマインドフルネスビジネスソリューション「cocokuri」において、JINS MEMEを使った集中力トレーニングを提供する「企業向けマインドフルネスソリューション"cocokuri(ココクリ)"」だ。マインドフルネスによって得られる集中力を数値で可視化することで自分の集中状態を把握し、オフィスワークへの還元方法修得を目指す研修プログラムとなっている。企業向けの出張サービスも予定されているとのことだ。
そして、インナーコーリング執行役員 水野由貴氏が登壇。マインドフルネスが集中力を高めるサポートを行うことで、生産性向上による「働き方改革」を促進するとともに、心の病から発生するGDP損失を防ぐことが「cocokuri」の目的であると紹介した。学生を対象とした知能パズルによる集中力の検証結果を例に、マインドフルネスの効果をアピールした。
1回目の計測後にマインドフルネス指導(30分間の簡易版、本来は5時間)を行い、2回目を計測したところ、参加23名の平均集中スコアが14%も上昇したということだ。なお、同プログラムの詳細および申し込み方法は、インナーコーリングのWebサイトを確認してほしい。
マインドフルネスは日本に合っている?
ここからは、国内外で企業向けマインドフルネス研修を手がける川上全龍氏(京都府・妙心寺 春光院 副住職)とcocokuriのチーフコーチ・井上広法氏(栃木県・浄土宗光琳寺 副住職)を迎え、「マインドフルネスは日本の経営をどうかえるのか?」と題したトークセッションとなった。テーマは「2017年、海外ビジネスシーンにおけるマインドフルネスの動向は?」。川上氏は「北米だけでもマインドフルネスは1000億円規模の市場があり、確立したビジネスとなっているが、一方でマインドフルネスのコーチである"老師"が次々に現れていることが問題視されている」という。
そのため、企業が中心となり"認定講師"を始めているそうだが、その基準がまだ確立されていないとし、「しっかりとした経験や知識があり、彼ら自身がちゃんとしたパフォーマンスができているかどうかが重要だ」と述べた。井上広法氏は「これから日本でマインドフルネスを普及させる場合、お坊さんが講師になるのが良いのかもしれない」と語ると、川上氏は「お坊さんの基準を見直す良い機会になる」と話、ちゃんとしたトレーナーを育てることがマインドフルネスを広めるためには重要であると断言した。
また、モデレーターの井上一鷹氏が「北米と比較してマインドフルネスが普及していない日本にも浸透させるにはどうしたら良いのか?」と尋ねたところ、「マインドフルネスから"スピリチュアルな香りがする"という人もいる。そういった部分をJINS MEMEで客観的に数値化することで、曖昧さを排除してくれるのではないか」と考えを述べた。川上氏も「フィードバックは重要で、自分の状態を知れば知るほど改善したくなるし、継続のモチベーションも上がる」と同意した。井上広法氏は「体調が悪くなると即座に(JINS MEMEで計測した)数値に表れる」という経験から「自分が感じていること以上にJINS MEMEがわかってくれているので、その数値を意識したトレーニングをすることでマインドフルネスを伸ばすことができるのではないでしょうか」と語った。
井上一鷹氏が「日本人は不安を感じやすく集中力や生産性を落としがちな人種で、マインドフルネスの効果が高いのは実は日本人ではないかと思い始めている。"働き方改革"とマインドフルネスは直結しているのでは?」と質問すると、井上広法氏は「ネガティブな物事は"生存"を、ポジティブな物事は"繁栄"を生み出すので、我々はそのバランスを考えなければいけない。日本人は不安を感じやすいとするならば、災害大国である日本で生きていくには、不安要素が強い方が生存のためにはよかったのかもしれない」としながらも、「将来の過度な不安にバイアスが掛かっているのならば、マインドフルネスで物事をありのままに見る必要がある」と述べた。
川上氏は「マインドフルネスの良いところは、自分のバイアスに気づけること。お釈迦様の"あるがままの物事を見なさい"という考え方が今の時代は重要だ」と述べた。続いて井上一鷹氏は「マインドフルネスはその効果を伝えるのが難しく、理屈として"なぜこれが自分にとって良いのか"を学ぶということと、それを継続するためにJINS MEMEがサポートできるのならば、その両方を一緒に作っていけたらいいなと改めて思いました」と締めくくった。
最後に、井上広法氏や水野由貴氏を含めた4名がJINS MEMEを装着して壇上で瞑想し、それを集中力測定アプリ「JINS MEME OFFICE」で計測してそれぞれのデータをチェックするという検証が行われた。姿勢の安定度を示す「調身」、呼吸をいかにリズミカルに深く行っているかを示す「調息」、平常心を保つ「調心」の3つがグラフでリアルタイムに表示された。今回は大勢の記者達の前での瞑想だったうえに、川上氏による解説や瞑想中の人への声がけなどもあり、本来の数値は出なかったようだ。