ソニッケアー本体が「ちょっと重い」理由
ダイヤモンドクリーンの革新性は充電スタイルだけではない。ダイヤモンドクリーンに限らず、シリーズ全般の製品に言えることだが、ソニッケアーの製品は他社の製品と比べると本体が少々重い印象がある。しかし、佐々木氏によると、フィリップスでは「適度な重さがあるからこそ力を入れすぎずに磨くことができる」とも考えているそうだ 。
ただし、スリムさにおいて、ダイヤモンドクリーンは(他の同社製品より)若干細身な印象。また、表面の加工がマットな質感で、シンプルで飽きのこないデザインが採用されている。また、他のラインナップと並べてみるとボタンが1つしかなく、デザイン上もスッキリしているのがわかる。とはいえ、モードは5つから選ぶことができ、シリーズの中では最も多機能だ。
機能性とデザインを両立させるために採用されたのが、LEDによるモード表示。ダイヤモンドクリーンは5つのモードが選択可能だが、ハンドル部分にモードがLEDで表示され、ボタンを押すごとに切り替わるという仕組みだ。電源をオフにした状態では、何も表示されないので非常にスッキリした見た目を実現している。
最新カラーは「大人向け」のトレンド色
ちなみに、9月に発売された新色のローズゴールドはグローバルトレンドとなっているカラーを反映したものとのこと。すでにピンクは同製品のカラーバリエーションにあるものの、今回はまた違った方向の色出しだ。
佐々木氏は、「電動歯ブラシというとガジェット感が強く、女性に受け入れにくいところがありますが、ピンクというのは女性層を掴むのに大いに貢献してくれました。でも、これまでのサクラ色のようなピンクだとかわいすぎると感じていらっしゃる女性もおり、もう1つのアプローチとして大人っぽいピンクを、ということで今回新色を追加しました」と意図を説明した。
「ローズゴールドは本体のアクセントになっているリングの色も従来のシルバーからローズゴールドに変更して、アクセサリーやコスメをイメージさせる大人っぽいものになっています。充電台やトラベルケースも、もちろんそれに合わせたカラーを採用しています。女性というのは特に感性に訴えかける"エモーショナル"なデザインが大切なんです」と、その思いはひときわ強い。
ひそかな「音」のこだわり
一方、フィリップスでは電動歯ブラシ全般の考え方として、「歯磨きという大切な生活習慣ではあるけれど、日々のめんどうでつまらない作業に楽しみを加えたいというのが製品開発の根本にある」と佐々木氏は説明する。そこで秘かなこだわりとして挙げたのが"音"である。
「昔のイメージだと、電動歯ブラシはうるさいと思われがちなんですが、実は音にもこだわっているんです。私たちはこれを"ソニッケアーサウンド"と呼んでいるんですが、心地よく感じるように音の周波数も調整しているんです」
家電製品においては、機能性とデザイン性の両立はトレードオフになることが多く、厳しい条件下においていかに双方の犠牲をなくして成り立たせるかということに、どの製品担当者や技術者も尽力している。佐々木氏を通じて、ソニッケアーの米国開発チームにその旨質問を投げかけると、「これがベストのかたち。妥協はしていない」との回答が返ってきたとのこと。しかし、佐々木氏によるとソニッケアーの哲学は機能が最優先。「機能がまずあって、そこにデザインを付加するかたちで最高のものを目指しています」。
電動歯ブラシというのは、家電製品においては既に古くから存在する商品ながら、これまでデザイン性やインターフェースについてはあまり追求されてこなかった感がある。そういう意味でも、ダイヤモンドクリーンはデザインとイノベーションという観点から画期的かつ群を抜いた製品。今後も電動歯ブラシのトップブランドとして、新たな境地を開いてくれるのを楽しみにしたい。