オランダのヘルステック企業・フィリップスが展開する電動歯ブラシブランド「ソニッケアー」。毎分約3万1,000回の高速振動と振幅により音波水流を発生させて、手で歯を磨くのと比較して約半分のブラシ圧で強力に歯垢を除去する特徴を持ち、歯科医、歯科衛生士など専門家からも支持されるシリーズだ。
「ダイヤモンドクリーン」初代モデルの発売は2011年9月で、グラス形の充電台が一番の特徴。その後、2014年にブラックとピンクの2色が追加され、2016年9月に「ダイヤモンドクリーン ディープクリーン エディション」として、ローズゴールドの新色に加えて、歯垢除去率が10倍となる「ディープクリーンモード」を搭載した新製品が発売された |
現在、初心者から上級者向けまで複数の製品をラインナップするが、中でも最上位機種にあたるのが「ダイヤモンドクリーン」。機能以外にも、デザインにこだわって開発された製品となっている。そこで今回は、日本国内で本製品を担当する、フィリップス エレクトロニクス ジャパン オーラルヘルスケア ジュニアマーケティングマネージャーの佐々木栄美氏に、本製品のデザイン面でのこだわりや、開発秘話などを伺った。
グラスを充電台に、機能実現には試行錯誤
2011年に市場に初めて登場したダイヤモンドクリーンだが、やはり目を引くのが充電台も兼ねる専用のグラス。佐々木氏によると、"バスルームにあるものの中で、歯ブラシにフィットするもの"というのが製品開発のコンセプトだったという。
「バスルームにあるもの以外でゴチャゴチャとさせない、という狙いが最初にあったようです。つまりバスルームの物をこれ以上増やしたくないということで、白羽の矢が立ったのが"グラス"。電動歯ブラシに不可欠な充電器の機能をグラスに持たすことができないか、一体化できないだろうかということで開発が始まりました」
そこで、最終的にグラスの中にダイヤモンドクリーン本体を挿し入れるだけで充電できるという方式が生まれた。ガラスのコップを充電台の上に載せるだけで充電ができるというものだ。無接点充電のため電動歯ブラシ自体に通電端子はなく、コップの中にただ入れるだけという画期的なスタイルだ。歯ブラシ+コップという、バスルームやサニタリールームでのいつもの光景を変えることはない。歯磨き後には、グラス本来の用途として、口の中を水で灌ぐ際にも使用できる。
ただし、発想が出てから実用化に至るまでには1年以上の時間を要したという。というのも、ガラスというのは通常、電気を通しにくい素材。これを介して充電台と本体を通電させるには試行錯誤の連続だったようだ。
また、グラス自体のデザインには、電動歯ブラシ本体の底と同じ四角い形状が採用されている。「電動歯ブラシ本体を入れた際に倒れないなど細かなところで微調整や工夫が必要でした」と佐々木氏は明かす。
ダイヤモンドクリーンではもう1つ、ユニークな仕組みの充電方式が採用されている。同製品には本体の持ち出し用のトラベルケースが付属しているが、単なるケースではなく、実はこれにも充電機能を持たせているのだ。
トラベルケースの側面にUSBコネクターを装備し、この部分にケーブルを挿してUSBやACアダプターを介して充電ができる。旅行の際などにいわば「フルサイズ」の電動歯ブラシを使いたい場合、充電器と一緒に持ち歩かなければならないが、ダイヤモンドクリーンの場合はケースとケーブルのみで済む。ここにもフィリップスがこだわった"ごちゃごちゃさせない"の哲学が反映されている。