ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ(B.LEAGUE) 理事・事務局長 葦原一正氏

最後に登壇したのは、ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ(B.LEAGUE) 理事・事務局長 葦原一正氏だ。B.LEAGUEは、国際バスケットボール連盟から改善勧告を受け、「bjリーグ」「NBL」が統合された新リーグで、9月に開幕した。開幕戦では、全面LEDコードを採用し、話題を集めた。なお同氏は、これまでプロ野球のパシフィックリーグや横浜DeNAにおいてマーケティングや事業戦略立案などを行っており、2015年からB.LEAGUEに参画している。

葦原氏によればB.LEAGUEのビジョンは「世界に通用する選手やチームの輩出」、「エンターテイメント性の追求」、「夢のアリーナの実現」の3つだが、もっとも重視するのは、あくまで「世界に通用する選手やチームの輩出」だと強調した。

葦原氏は「B.LEAGUEの目標は、日本の野球、サッカーに追いつくことではなく、日本のバスケットボールを世界レベルにすることだ」と語る。

B.LEAGUEのビジョン

同氏が来場意向者の特徴を分析したところ、「1人観戦型ではなく、集団観戦型でオシャレ」、「出掛けるが好き」、「スマホや雑誌で情報収集」、「情報を見るだけではなく発信もシェアも積極的で流行に敏感」という特徴があることがわかったという。

来場意向者の特徴

そして、B.LEAGUEはこのような傾向も踏まえ、「デジタルマーケティングの徹底推進」と「代表、リーグ、クラブの利権の統合」の2つ方針に注力するという。

まず、「デジタルマーケティングの徹底推進」では、スマホ中心で行うという。チケットはB.LEAGUEが直接販売し、顧客の購買履歴を蓄積。チケットはスマホで購入・決済し、ペーパーレスで行うという。

「我々はスマホ中心で行きます。もう(チケットの)紙はやりません。これは明確に言えます」(葦原氏)

スマートフォンでのコミュニケーションを活性化

もう1つの「代表、リーグ、クラブの利権の統合」では、顧客データベースや競技者のデータベースを代表、リーグ、クラブ間で統合。そして、貯まったデータベースを分析し、各クラブにフィードバックしていくという。

「日本のスポーツでは、日本代表、リーグ、各クラブチームがバラバラで動いて、うまくいかないことが多い。バスケットボールはこれを一緒にやっていきます。我々は日本の野球やサッカーを学ぶのではなく、NBAなどの海外のスポーツを学んでビジネスをやっていきます」(葦原氏)

個人情報を統合し、バスケ界の統合DMP(データ・マネジメント・ プラットフォーム)を構築

スマートフォンを活用したDMP活用事例

こういった「データ・マネジメントサービス」や「デジタルマーケティングプラットフォーム」の構築では、富士通が支援していくことが、先月発表されている。

ファン戦略でも、ライトファンにアプローチするのはなく、インフルエンサーであるコアファンに注力していくという。

そして同氏は「一般的はライトファンにアプローチしたほうがいいといわれますが、我々はあくまでコアファンに注力しています。理由は、アンケート調査で試合に誘われて見に来たという人が圧倒的に多かったためです。そのため、コアファンにいかに試合に誘いたくなるような魅力的なコンテンツを提供することが重要だと思っています。そのため、コアファンのどんな人にどんな情報を提供するかを考えていきます」と語った。

ライトファンへのアプローチはコアファンをインフルエンサーとして活用していく