Skylakeのグラフィックスに関しては、発表者が交代し、Wen-fu Kao氏が登壇した。
SkylakeのGen 9 Graphicsでは、実行方式がSIMTに一本化されるという大きなアーキテクチャ変更が行われたと見られているが、それにはまったく触れられず、大きな変更はないと感じられる発表であった。
Skylake内蔵のHD Graphicsはブロック図レベルではあまり変わっておらず、Scaler and Format Conversion(SFC)というブロックが追加された程度である。
EUの数は24個がひとまとまりで、最大規模の場合はこれを3つ並べて72EUにスケールできるというのは前世代と同じであるが、ジオメトリ計算のスループットが向上し、ピクセルのフィルレートが1.33~2倍/クロックに改善されている。また、ロスレス圧縮で描画性能が若干改善されている。
グラフィックスAPIとしては、DirectX 12、Vulkan、Metal、OpenGLをサポートし、科学技術計算ではOpenCL 2.0をサポートする。
そして、Skylakeのグラフィックスでは、ピクセルやテクスチャのロスレス圧縮の機能がサポートされた。最大の圧縮率は2:1であるが、次の図の左側のグラフのように、実際のアプリでは3%~11%の性能向上ということになっている。圧縮はメモリバンド幅の節約になるし、メモリの消費電力も減る。
右側の表はプリエンプションの応答時間の比較で、これまでは、3D描画の場合はトライアングルのバウンダリ、計算の場合は、スレッドグループの切れ目まで待たないと、切り替えが受け付けられなかったのであるが、Skylakeではスレッドの実行途中でも割り込みが受け付けられるようになった。その結果、Uシリーズのチップでは、Adobe Photoshopのプリエンプションは、これまで4~6ms掛かっていたものが、300μsとおおよそ1/20の時間で切り替わるようになった。また、その他のサンプルアプリでも大幅な時間短縮が得られている。なお、低消費電力のYシリーズプロセサでは切り替え時間が長くなる傾向があるが、アプリケーションによっては、あまり差が見られないものもある。
まとめであるが、Skylakeは、各種のパーソナルコンピューティングの場面で、これまでにない性能と電池寿命を提供する。IntelのSpeed Shiftテクノロジはより高い性能、応答性、電力効率を実現する。
グラフィックスは、スケーラブルな性能、1TFlopsを超える最大性能、低消費電力の改良されたメディアエンジン、柔軟な電力制御、入力から表示までの4K処理などを提供する。
そして、Skylakeは、ソフトウェアのセキュリティを革命的に変革するIntel SGXとIntel PMX機能を提供する、述べた。