ヤマハでは音のユニバーサルデザイン化構想を提唱しており、同構想は音のインフラをさまざまな企業・施設と共同で構築することで、例えば空港から電車やバスに乗車し、観光やショッピングを楽しみ、ホテルへ」といった一連の行動を1つのサービスで横断的にサポートすることを可能としている。また、アナウンスは共通規格がないため規格の共通化を図ることで、おもなしガイドのようなソリューションが実現できるとも瀬戸氏は語っている。

今後の改善点として同氏は「おもてなしガイドを、より簡単に導入してもらえるような形態を構築していくことが重要だ。各所で使用されている放送機材やサービスは多様なため、われわれだけで展開していくには限界がある。簡単に導入してもらうにはどうしたらいいのかと考えた結果、アナウンス機器関連メーカーなどと協力して展開していくことが望ましい」と述べた。

すでに、同社は複数のアナウンス関連メーカーと連携しており、店内放送向けはUSEN、鉄道車両向けでは八幡電気産業、バス向けなどはクラリオン、レシップホールディングス、レゾナント・システムズ、鉄道駅向けがアイテック阪急阪神、キンツー、中川電気工業、さらに音声合成の分野ではエーアイ、HOYA、サービス・そのほかでは凸版印刷など、各業界に強みを持つメーカーと協力して展開していくことで社会全体に向けたおもてなしガイドの普及・促進を図っている。

また、アプリの利用者を増やすためには「おもてなしガイドアプリのダウンロード数を増やすのではなく、すでに多くの利用者を抱えているアプリで、その機能を利用できるようにすることが重要だ。例えば、空港や商業施設などの施設アプリ、乗り換え案内のアプリ、高齢者向けアプリ、外国人向け観光用アプリ、SNSアプリなど、各アプリにおもてなしガイドの機能を組み込めば、さらなる利便性の向上につながると考えている」との見解を示した。

そして、今後のおもてなしガイドについて「まずはしっかりとインフラを構築することに注力していく。そのためにも、おもてなしガイドの対応範囲の拡大を図りたいと考えており、今後はユーザーのスマートフォンのみならずデジタルサイネージにも翻訳情報を表示するといった展開なども検討し、利用できる場所を増やす。また、SDK(Software Development Kit:ソフトウェア開発キット)を外部にも提供することで、音のユニバーサルデザイン化の範囲を拡大する準備も着実に進めている」と将来的な事業展開に期待を寄せた。