BtoB向けビジネスの拡大を進めているシャープ。7月には成長を続ける屋外広告市場向けにLEDディスプレイ「VF-S601」を発表し、必ずしも表示装置として液晶ディスプレイにこだわらない姿を見せた。また、サイネージ向けとして同社は現在、コンテンツ作成の支援や使い勝手の高い配信ソフトウェアの提供など、ハードウェアのみならずソリューションとして強化を図っている。全国7カ所で開催された同社のEco&Businessソリューションフェアの展示内容を含め、同社のデジタルサイネージに向けた戦略を読み解く。
Eco&Businessソリューションフェアは2008年より同社のビジネス全般のソリューションを扱うことを目的に開催されているイベント。2016年は全国7カ所にて合計で約4000社/6000名の参加があったという。
デジタルサイネージの国内市場は年々成長を続けており、その用途も広告媒体のみならず、販促媒体やマーケティング機能、行政や商業施設におけるニュース掲示など、さまざまな展開が進んでいる。そんなデジタルサイネージ、特に屋外広告における現在のトレンドについて、同社にて長年ディスプレイの販売などに携わってきた高森仁志氏(同社ビジネスソリューションカンパニー 国内マーケティング統轄部 マーケティング企画部部長)は、「デザイン性のほか、通行人が求める各種情報の提供といった差別化が求められる」との見方を示す。
また、メーカーとして風雨、日射なども含めた設置場所の環境への対応や、保守サービス、映像表示に向けた配信手法、電源のオン/オフといった基本的な機能をサポートする必要があり、シャープとしてもハードウェアに加え、コンテンツの配信管理や状態監視を実現するインフォメーションディスプレイ マネージメントソフト「e-Signage」の最新版となる「バージョン4.7(v4.7)」を8月より提供し、そうした多様化するニーズへの対応を図っているという。
バージョン4.7では、サイネージパーツとして、Twitterと公式に契約を取り交わし、メーカーアプリとしてSNS上のメッセージを表示することが可能となったほか、時計(アナログ/デジタル)、地域の天気情報といった情報も本来の広告映像に重ねて表示できるようになった。「メーカーとして提供できるデザインには限界があるため、最初ということもありシンプルなものを用意した。ただし、美人時計のような仕組みも個別対応としては検討していきたい」(高森氏)という。
さらに独自ブラウザ「e-Signage Webブラウザ」の機能を拡張し、HTML5に対応させた。これによりHTML5コンテンツがサイネージの一要素として表示できるようになり、よりリッチなコンテンツを利用することが可能となった。
また、LEDディスプレイそのものとしては、IP65に準拠しつつ、6mmピッチで輝度5000カンデラを実現しており、6~10m離れた距離での最適な視認性を目標に開発。最大2×2面(63V相当)での表示を可能とする。それ以上のサイズでの活用もできないことはないが、「ハードウェアの性能は、ようやく競合メーカーに追いついたが、屋外広告として活用していく上でシステム的にどのようにするか、という点で工事に対する作業認定や法規制への対応といったノウハウがまだ蓄積されておらず、個別での対応」(同)ということであった。