6:加工は家でやろう

水族館の撮影で、ピントを完全に合わせるのは至難の業。さらに、ペンギンは水中ではとても素早く動くので、被写体としてはかなり高難度だ。多少ぶれている程度の写真は、Photoshop CCの機能「ぶれの軽減」でカバーする

水咲氏は、「水族館撮影では『見たまま・撮ったまま』より『イメージを付加して変えたほうが楽しい』と言い、色調の変更などの加工は現場でなく、帰ってからやるほうがじっくり「遊べる」と語った。

実際、水族館の撮影では、撮った写真の色がどうしても「浅く」なり、褪せたような色になることが多かった。また、魚をアップで撮ると、離れていた時には気にならなかった水中のゴミがどうしても写る。さらに、タイミングよく撮れたとしても、水槽越しなので、ややぼんやりした撮れ具合になることもあった。

アドビ システムズ・栃谷宗央氏

ここで、アドビのLightroom CC、Photoshop CCが生きてくる。アドビ システムズ・栃谷宗央氏が、「RAWで撮って家で遊ぶ」メソッドとして、ソフトごとに使える機能を披露した。Lightroomの補正機能として注目された「かすみの除去」が、霧がかった風景写真だけでなく、水槽の曇りを明瞭にするのにも使えるなど、最新機能の活用方法が語られた。

不要なオブジェクトはPhotoshopマジックとして有名な「コンテンツに応じる」コマンドで消すと手軽。中途半端に画面に入り込んだ魚を消してみた

色が落ち込んだ写真も、RAW撮影して彩度を上げると見違える。ただ、クマノミがイソギンチャクに隠れるシーンにはついぞ出会えたなかった。おきまりのシーンを撮るには根気と運が必要そうだ

水族館で普段はなかなか見られない海の生物を前に撮影すると、記念写真とはまた違った撮影体験を味わえる。個人的に水族館は家族連れの行楽スポットというイメージが強かったが、写真を撮る楽しみを体験し、インスピレーションを得るにはうってつけの場だと感じた。記録ではなく、撮ることそのものを味わいたい人は、週末にでも足を向けてみてはいかがだろうか。