人気キーワードから見えてくる外国人のニーズの変化
ぐるなび外国語版のキーワード等を分析することで、日本の飲食店に対する訪日外国人のニーズも浮かび上がってくる。数年前までは日本料理が主だったのが、現在は居酒屋やラーメン、焼き鳥など、人気キーワードは日ごとに目まぐるしく変わっている。また、国(言語)による人気の違いも見えてきた。例えば、英語では寿司に人気が集まる一方で、繁体字は神戸牛が人気だったりするという。
こうした傾向について杉山氏は、次のように分析する。「外国でも日本料理に触れる機会が増え、日本の食文化が幅広く知られるようになっていることで、本物を日本で食べたいと考える外国人のニーズが多種多様になってきているのでしょう。最近では、日本の各地域の地元の名物料理を食べたいというニーズも高まっています。日本は北から南まで地域ごとに魅力があり、さらに季節ごとに旬の食材メニューがありますので、冬のこの地域だったらこの料理をといったように、外国の人々に"通"の域に達してもらうことまでを期待したいですね。そうなってくれば、何度でも日本を楽しめるので、リピーターも増えていくはずです」
日本の飲食店のグローバル化を支えていく
さらに、ぐるなびは鉄道各社、羽田空港、成田空港、航空会社と協力して、「観光」、「食事」、「買い物」、「宿泊」の4ジャンルの情報をワンストップで提供する訪日外国人向け観光情報サービス「LIVE JAPAN PERFECT GUIDE TOKYO」を今年4月13日に開始している。また、飲食店の販売促進ノウハウを提供するセミナー「ぐるなび大学」では、インバウンドセミナーをほぼ毎日実施するなど、インバウンドに関する取り組みを多角的に加速させつつある。
今年7月には、「LIVE JAPAN」の活動として、東京モノレールの羽田空港国際線ビル駅で、体験イベントを開催した。改札で、訪日外国人に対し、外国人対応スタッフがサービス概要を記載したリーフレットの配布、、タブレットでLIVE JAPANのWebサイトの紹介を行った。
対応スタッフは、訪日外国人に応じて話す言葉を自在に変更し、出身の国や来日目的を尋ねながら、適した言語によって表示されたWebサイトを紹介していた。あるスタッフは、これから行く場所を尋ねて、Webサイトでそこに行くための経路を表示し、最寄りの駅に近い飲食店を紹介するなどして、LIVE JAPANの使い方を上手に伝えていた。
杉山氏は「やがて飲食店の顧客の平均10%ぐらいが訪日外国人になると当社では試算しています。そのような時代の到来に備えて、今から受け入れる準備をしていく必要があるでしょう。とはいえ、何からやればいいのかわからないという飲食店も多いですから、まずは外国人をもてなす意識をもってもらうところから支援できるようにしています」と強調する。
同社は今後、寿司握りやそば打ちなど、現在100店舗ほど存在する食文化体験ができるレストランをさらに増やしていきたいとしている。
「私は、食こそがリピーターづくりのキーワードになると信じています。日本料理のファンを世界中に広げるとともに、日本の飲食店も人を含めてグローバル化できるようサポートしていくのが、私達の目指すところです」(杉山氏)