スマートフォンはまだまだ成長する余地がある
IC Insightsが6月に発表した2016年第1四半期(1~3月期)の世界スマートフォン・メーカー販売台数ランキングおよび2015年(通年)販売台数実績・2016年予測(表1)によると、2016年のスマートフォン市場全体の成長率は5%と、それまで2年続いた2桁成長からみると成長が鈍化したように見える。スマートフォンは、成熟期に入ったという見方も広まっており、なかには衰退するのではないかと杞憂する向きもある。
確かに、世界規模のスマートフォン市場で寡占企業であるトップ2社(韓国Samsung Electronicsと米国Apple)および韓国LGやソニーなど超有名ブランドのメーカーは、中国本土の新興勢力の台頭(表1に示す世界トップ12社のうち、実に8社までが中国メーカー)により今年はマイナス成長に落ち込む見込みで、とりわけ中国本土での販売量の落ち込みが顕著である。
しかし、これとは対象的に世界トップ12社の内、中国メーカー4社が3~5割ほど成長すると予測されている。ソニーやMicrosoft(両社とも今年もマイナス成長予測)をランク外に蹴落として初めてランキング入りを果たしたインド企業Micromaxに至っては74%という驚異的成長が予測されている。中国やインドや東南アジア市場にはまだまだ成長ののりしろがあるということだ。
これに呼応するかのように、中国本土で新興半導体ファブレスが急成長している。中国のファブレスの売り上げは、2010年には世界全体のファブレスの売り上げの5%に過ぎなかったが、2015年には10%に達し、さらに15%に向けて急上昇している。すでに、QualcommやMediaTekに脅威を与えるほどのスマートフォン用チップセットを開発できる実力企業も育ってきており、今後の中国半導体業界の動向が注目される。