最近の――といってももう随分以前からではあるが――ゲームやCGのキャラクターはまるで本物の人間のごとくリアルな動きを見せるようになっている。それもそのはず。"本物の人間の動き"をもとにしているのだから。

それを可能にした技術が、モーションキャプチャと呼ばれるものだ。光学式、磁気式など仕組みはいろいろあるが、ざっくり言うと、体にセンサーやマーカーを取り付け、検出した動きをデジタルデータ化する。モーションキャプチャ技術そのものはかなり昔からあるが、機材は高価だし、撮影のためにはそれなりの広さの空間が必要だしで、そうそう気軽に個人が扱えるようなシロモノではなかった。

しかし、ここ数年、そんなモーションキャプチャが個人にも手の届く価格にまで降りてきている。なんと10万円を切る製品もあるから驚きだ。もっとも、そうした低価格帯のモーションキャプチャでは、簡易スタジオを作ってカメラで撮影するという手法が一般的。スタジオ用の広い空間が必要になることから、やはり個人ユースでの利用は難しかった。

スタジオいらずの低価格モーションキャプチャが登場

そんな折、画期的なモーションキャプチャ製品が登場した。「NOITOM PERCEPTION NEURON(ノイトム パーセプション ニューロン)」である。このたびアユートが国内販売を開始したものだ。

スタートアップ企業や個人の開発者ユースを見込んだ製品ということで、価格は20万9,800円とかなりお手頃。しかし、安い製品は他にもある。画期的なポイントはそこではない。なんとこれ、カメラを使わないためスタジオを必要としないのだ。

よって、体が動かせる程度の広さがあれば、どこでも利用することができるのである。スタジオ用の部屋を用意できない開発者にとっては、まさに待ち望んでいた製品ではないだろうか。

しかし、カメラを使わずにきちんと動きがとれるのだろうか。使い勝手も含めて気になっている人のために、今回製品をレンタルして使ってみることにした。

センサーを体にとりつけてみる

場所はマイナビ社内の会議室。10人前後で使う小部屋で、体を動かすことくらいはできるが、その程度の広さである。従来のやり方でモーションキャプチャを使うのは不可能だ。

「NOITOM PERCEPTION NEURON」を見て、まず驚かされたのはそのコンパクトさ。

iPhone6 Plusと比較

体にとりつけるセンサー類など機材一式がこの小さなケースに収まっている。これなら持ち運ぶことも簡単だ。専用のカメラを必要としない恩恵はここにも表れている。

ケースにはポーチが3つ

ポーチには体の各部に装着するパーツが入っている

ではさっそくパーツを身につけていこう。

動きをデータ化するためのIMU(慣性計測装置)「Neuron」

「Neuron」を体の決められた位置につけるためパーツを装着していく

下半身も

手袋にも「Neuron」がびっしり

この製品の購入を検討している方にいまさら説明する必要はないと思うが、動きをキャプチャするための重要なアイテムが「Neuron」で、こいつが持つ3軸ジャイロスコープ、3軸加速度計、3軸磁力計といった技術により「体のどの場所がどのように動いているのか」を計算することができるのだ。これがカメラを不要にできた理由である。

パーツを身につけたら「Neuron」をパチンパチンとはめこんでいく

お気づきの通り、この装着作業は一人では不可能である。スタジオは不要だが、作業する人は最低2人は必要だ。

モーションキャプチャでは、作業をスタートする前に体につけた「Neuron」の位置をソフトに覚えさせる「キャリブレーション」という作業を行う。これをやらないと動きを正確にデータ化できない。

本製品のキャリブレーションは、椅子に座って手を机に置く、直立不動の姿勢になる、立ち上がって両手を真横に開く、膝を折って手を水平に突き出すという4パターン。画面の指示に従っていればすぐに終わる。

キャリブレーションを行う

ビジュアルで動きを指示されるのでそれを守っていればいい

これで準備はOKだ。言い忘れていたが、一連の動作は専用のソフトで行う。今回は「NOITOM PERCEPTION NEURON」のパーツを有線でPCに接続しているが、Wi-Fiを使うこともできる。