Samsung:エンタープライズSSDが好調
Samsung Electronicsは第1四半期にハイエンドのエンタープライズSSDの出荷が好調だったため、これが一般消費者向けストレージ製品の出荷減少を補った。 NANDフラッシュの平均販売価格は、前四半期比で6~8%下落したが、ビット出荷量は9%増加した。その結果、同社のNANDフラッシュ事業は前期比1.2%伸びを見せ、営業利益率も向上した。
Samsungの2016年のNANDフラッシュ戦略は、引き続きSSDに注力し、SSDのノートPC市場への浸透をさらにはかり、データセンターからの強い需要にきちんと応えることだ。DRAMeXchangeは、Samsungの2016年のビット出荷量が業界平均を上回るとともに、同社のプロダクトミックスの中で、3D NANDのシェアが拡大するとの期待を示している。
東芝:在庫一掃で前期比12%売上増加
東芝は,社外からの経営への圧力に直面して、2016年第 1四半期(東芝にとっては2015年度第4四半期(1~3月の期間))末までNANDフラッシュの在庫一掃に追われた。その結果、この期間のビット出荷量は前四半期比20~25%と2桁の増加となった。しかし、スマートフォンの出荷台数が生彩を欠いたため、NANDフラッシュの全種平均販売価格は13~15%もドロップした。 この期間、在庫一掃で東芝のNANDフラッシュの売上高は前四半期に比べ12%増加し、ほぼ前期並みの営業利益率を確保した。
第1四半期における東芝のNANDフラッシュの出荷の70%以上が最先端である15nm技術で製造された。また全出荷の40%以上が、TLC(Triple Level Cell:メモリセルに3ビットのデータを格納する方式)ベースの製品だった。東芝は、2016年後半に、有力顧客に評価用の48層3D NANDフラッシュのサンプルを出荷する予定としているが、そのNANDフラッシュ事業の強化のために、2016年の設備投資を前年比で20%増加させるとDRANeXchangeは予想している。3D NANDを開発するには、2D NANDの場合よりも、余計に資本や設備が必要になるからだという。
SanDisk:東芝とは対照的に売上7%減
SanDiskの組込向け製品の売り上げは、第1四半期に前期比30%以上落ち込んだ。主要な複数の顧客が在庫調整をしたためだとする。同じ時期に、クライアントSSDは、底を打って回復基調となり、エンタープライズSSDもデータセンターのいくつかの主要クライアントからの注文で上向き始めた。全体として、第1四半期のビット出荷量は、前期比6%減少し、平均販売価格も8%低下した。ただし、製造コストを6%減らせたことから、NANDフラッシュ全体の売り上げが前期比で6.8%の低下となったものの、粗利は前期並みの40%を保った。
SanDiskは今後、15nm技術の採用を加速するとともに、エンタープライズSSDのポートフォリオにもっとNVMe(Non-Volatile Memory exprres:ストレージ接続規格の一種)製品を投入するだろう。コスト競争力を増すため、15nm TLCにも注力するだろう。組込向け分野では、スマートフォンのフラッグシップモデルにTLC-eMMCを引き続き売り込んでいく。製造面では、ウェハの生産量を6月終わりまでに5%増やす計画とするほか、年末までに生産能力のうち3D NANDフラッシュの割合を15%に増やす計画だという。
SK Hynix:スマホ向け不振で売上が24%減
SK Hynixでは、戦略的に提携しているスマートフォンの顧客が購入量を減少させたために、平均販売価格が前期比で12%低下してしまった。また、スマートフォン以外の分野でも買い控えがあったことから、ビット出荷量は同11%低下し、売上高も24%減となった。第2四半期には、中国ブランドの新しいスマートフォンによる需要で、ビット出荷量は3割以上増える可能性がある。
また同社は、2D NANDフラッシュの生産のために14nm技術を追求すると同時に3D NAND技術の開発を続けている。すでに高密度UFS(Universal Flash Storage)とeMMC製品向けにMLC 3D NANDフラッシュを採用し始めている。TLC 3D NAND製品のサンプルは、第3四半期末の出荷を予定している。同社は現在、3D NAND製品をM12ファブで製造しているが、2017年には新設のM14ファブでも生産されるようになるだろう。
Micron:売上7%減、3D製品比率を年末までに5割超へ
Micron Technologyにとって自社のビジネス年度である2016年度の第2四半期(2015年12月~2016年2月)、NANDフラッシュのビット出荷量は、前期比で11%の増加となった。しかし、その売り上げの大半は、市場価格の変動の影響を受けやすいチップ状態のままの販売から来ており、同期間の不揮発性メモリ・コンポーネント事業の総収入は前期比で6.9%減となった。
現在、Micronは3D NANDフラッシュへの移行を加速させる生産計画を立てている。シンガポールの新工場Fab10Xでは、新しい製造装置を搬入中で、2016年下半期に量産を開始する予定である。すでに同社ではPCのOEMに3D NANDクライアントSSDのサンプル出荷を済ませるなど提供を進めており、3D NANDフラッシュの出荷量は、年末までに総量の50%に達するとみられる。また、製品構成については、ウェハおよびチップとしての出荷は、さらに増えて総売上高の50%を超える一方、モバイル向けNANDは10~15%、SSDは15%をそれぞれ占め、それ以外が自動車、通信、工業向けで占められる見込みである。
Intel:売り上げ16%減で赤字、年内に中国生産開始へ
第1四半期のIntelのNANDフラッシュの売り上げは、市場の供給過剰とエンタープライズSSD市場での競争の激化により大きな打撃を受け、前期比16%減となる5億5700万ドルに留まった。平均販売価格の低下はコスト削減よりも大きかったため、Intelの営業利益率はマイナスに転じた。
現在、同社の主力製品は、16nm MLC NANDフラッシュをベースにしているが、第2四半期の初めからデータセンターのクライアントに3D NANDエンタープライズSSDのサンプル出荷を進めており、2016年後半に量産が予定されている。
Intelは、中国大連にある既存ファブをリフォームして3D NANDの製造に向けた装置の搬入を進めている。2016年第3四半期に試作を開始し、第4四半期に量産を開始する計画だ。次世代メモリとして期待される3D XPointについては、その開発が米国で進行中で、有力クライアントへのサンプル出荷は2017年の前半に設定されている。