市場調査会社の台湾TrendForceの半導体メモリ市場調査部門DRAMeXchangeは5月20日、2016年第1四半期(1~3月期)におけるNAND型フラッシュメモリ市場が、前四半期比で2.9%減の80億600万ドルに留まり、チップ価格低下の影響から2四半期連続のマイナス成長となったと発表した。
2016年第1四半期に、大口需要家向けのNANDフラッシュの平均契約価格は前期比10%ほど低下した。過剰供給状態が継続しているためだ。スマートフォンやタブレットやPCの出荷が急激に減少したため、eMMC(embedded MultiMedia Card)およびクライアントSSD(Solid State Drive)の価格も前期比13~18%低下した。NANDフラッシュの平均販売価格の低下による減収は、総ビット出荷量増加による増収をはるかに上回ったため、NAND市場は縮小してしまったとDRAMeXchangeでは分析している。
同社の調査担当ディレクターであるSean Yang氏は、2016年のNAND市場に関して、「2016年のコンシュ―マ・エレクトロニクス市場は(めぼしいヒット商品が出現せぬ限り)弱含みのままだろう。NAND型フラッシュメモリの需要向上は、それぞれのエンド製品のコンテンツ増加からしか期待できない。プレーナー(2次元)NANDは、微細化の限界で最終世代に到達しつつある一方、3次元(3D)NANDを手がける各社の製造計画は後倒しで遅れが生じている。このため、各社の製造コスト低減は思うように進まず、売り上げはなかなか増えないだろう」と語っている。
次ページでは、NANDフラッシュベンダ各社の状況と今後の計画を詳しく見ていこう。