2010年にデンマークで創業し、いまグローバル規模で急成長している電子取引と企業間ネットワークプラットフォームのトレードシフト。「企業版Facebook」とも呼ばれる同社は何を目指しているのか──来日したCEO兼共同創業者であるクリスチャン・ラング氏に話を聞いた。
急成長する企業間商取引クラウドプラットフォーム
――トレードシフトが提供するサービスの仕組みについて教えてください。
われわれが提供しているのは、企業間における商取引のプラットフォームとなるクラウドサービス「トレードシフト」です。ユーザー企業はそこで、売り手企業と買い手企業のマッチングや、見積・注文・請求などの商取引プロセス全般をクラウド上で行うことができます。基本的な機能はすべて無料で提供しています。
トレードシフトは、FacebookやLINEなどの個人向けクラウドサービスと同様、直感的に操作できるように開発されているため、初めて利用する企業であってもマニュアルなしですぐに使いこなすことができるでしょう。そんな使い勝手の良さもあって、毎週グローバルで1,000社を超えるペースで利用企業が増えており、現在、世界200カ国・80万社がわれわれのサービスに参加しています。
――サービスの利用企業にはどういった業種・業界が多いですか?
特に業種・業界や規模の偏りはなく、幅広くご利用いただいています。あえて代表的な企業を挙げるとすれば、DHL、Xerox、チューリッヒ生命、LinkedIn、エールフランス、KLM、中国銀行(Bank of China)といったところになります。
あらゆる業種に共通して言えるのは、その業種の最大手の企業がトレードシフトを使い出すと、2番手以下の企業も追随して利用し始める傾向にあることです。業界で最も影響力の強い企業が参加すれば、その取引先も既にトレードシフトを利用している状況になりますから、業界ごとに共通した取引先も多いので参加しやすくなるのではないでしょうか。
――最もよく使われているサービスはなんですか?
やはり電子請求や支払いがよく使われていますね。あとはサプライチェーンに関するリスク管理や調達機能も人気が高いです。さまざまなデータベースやアプリケーションベンダーと連携することで、過去に不適切な行いのあった企業などの情報をリアルタイムで収集していますので、リスク管理についてはそうした情報も反映しています。
また、レコメンド機能もあって、企業がお互いにレコメンドすることができます。その内容を他の企業が見ることで、新たな取引先の獲得が見込めるのです。また、特定の条件でフィルターをかけて取引相手を探すことも可能です。
それと、トレードシフトの大きな特徴の1つが、従来型の電子取引システムと比べ10倍以上のスピードで取引先を参画させられる点です。ある世界的なスポーツブランドでは、40倍のスピードで取引先を参画させることができています。