戦略PRのブルーカレント・ジャパンとファッションPRを行うワグは2月17日、業務提携を行うことを発表し、双方の既存クライアントに向けた共同サービスの提供、新規ビジネスの共同獲得、双方が有するネットワークの融合などを行うと発表した。そして、3月14日には、業務提携を記念して、両社社長によるトークセッション「PR がつくるブランドの未来」を都内で開催した。

ワグ 代表取締役 伊藤美恵氏(右)とブルーカレント・ジャパン 代表取締役社長 本田哲也氏(左)

ワグ 代表取締役 伊藤美恵氏は、ブルーカレントとの提携を理由を、「私たちはこれまでプロダクトありきのPRをずっとやってきましたが、今求められているのは、単なるプロダクトのPRだけでなく、空気づくりからイベント、SNSまで、すべての部分でワンストップでやっていけることです。そうった空気作りの面では、ブルーカレントのやり方がファッションの世界でも通用すると思いました。これからは、それらが得意な人たちと協業することによって、みなさんへのサービスがもっと広がっていければいいと思います」と語った。

ワグ 代表取締役 伊藤美恵氏

一方、ブルーカレント・ジャパン 代表取締役社長 本田哲也氏は、「ファッション業界の世界観をつくるこだわりはすごいと思います。また、スタイリスト、編集長、モデルなど、影響力がある人のネットワークも強く、そういう方の発信力パワーを使うことで実行力が上がると思いました」と説明した。

ブルーカレント・ジャパン 代表取締役社長 本田哲也氏

両者の出会いは、伊藤氏が代表取締役を務める広報・PR養成校「エファップ・ジャポン」の夏期集中講座で、 そこで本田氏が講師を務めたことがきっかけだという。

本田氏によれば、今回の提携の狙いは、ファッションのPRマインドをファッション業界以外へ転用することと、戦略PRマインドをファッション業界に転用することだという。

ブルーカレントが行う戦略PRとは、戦略的に空気や雰囲気を作って、なぜそのブランドが必要なのかを作っていくものだという。たとえば、同社が以前担当した紙おむつのPRでは、吸収力アップという商品の特徴をアピールするのではなく、赤ちゃんの睡眠が社会問題になっているという空気をつくり、その会社の紙おむつが赤ちゃんに快適な睡眠をもたらすという展開を行ったという。

トークセッションの中で本田氏は、最近のブランドのあり方における変化について、「これまではブランドの世界感がしっかりあって、そこに招き入れる形でPRや広告が行われていました。今は生活者が忙しく、興味がいろいろなところにあるので、1つのブランドに対して関心がそれほどありません。そこで、これからはブランドが生活者に寄り添っていくべきだろうと思います」と述べた。

ブランドあり方における変化

これを受け伊藤氏も、「まったくその通りだと思います。1つのブランドが与えられた課題だけをやるのではなく、どれだけそのブランドがライフスタイル全体で楽しく見えるかということが要求されています。寄り添っていくというのは、ブランドが消費者の要望をどれだけ理解しているかということだと思います」と語った。